小説モドキ

2幕3場(中央に佳子が寝ている枕元の上手に勝蔵、下手に看護婦。)

(佳子は勝蔵の方を向く) 佳子:あなた、ありがとう。 勝蔵:な、なんだいきなり。 佳子:昔は、私をこんな体にしたあなたを恨んでいました。 勝蔵:そうだろうな。俺は今もすまないと思っている。 佳子:いえ、それは昔の事。今は恨みの気持ちは薄らぎまし…

2幕4場(ここは佳子の一人芝居となります)

勝蔵と看護婦の肉体関係を言い出したのは佳子自身であったが、実際に2人の睦言や看護婦のアクメの叫びを聞くのは耐えがたい辛さであった。 耳を閉ざし、心を閉ざし、歯を食いしばり呻きながらその辛さに耐えていた佳子であったが、ある時から看護婦の叫び声…

3幕5場(中央に佳子が寝ている)

(中央の障子を開けて看護婦が入って来て布団の中で脈を診る) 佳子:あら、おはよう。 看護婦:おはようございます。奥様。 佳子:障子が明るいわね。お天気も良さそうね。 看護婦:はい。今日は良い桜日和になりそうです。 佳子:そうね。春になったのよね…

3幕6場(中央の籐製の安楽椅子に白髪の看護婦が休んでいる)

(看護婦は遠い天国を見上げる様にゆっくりと指折り数える) 奥様が亡くなられてほぼ7年。あの人が亡くなってからも ・ ・ ・ ・ はや3年。 奥様は新婚初夜にあの男から梅毒を移され ・ ・ ・ そして脊髄を冒され、 私が奥様の介護に来た時は ・ ・ ・ 下…

性病はなぜ撲滅できないか。

『愛の形』は、梅毒に侵されて体が不自由になってしまった新妻の話でした。ただ、撲滅するとなると、SEXという人間の根源的習性に付随して伝染するので、根絶は非常に困難です。 梅毒は、元々アメリカ大陸の風土病でコロンブスがヨーロッパに持ち帰ったと…

いま考えればへんてこな戦後事情。

戦前は出征前に結婚させる家庭がかなりあったそうです。嫁を持たせ、女を知れば生還への思いが強まると考えたのでしょうか?。当時の事情はもう確認しようありませんが、そんなわけで新婚早々に夫が出征し、戦死して未亡人になった若い女性がかなりいました…

愛の形(nurse's side)

父は軍医でしたが、満州で旅行中に泥棒に襲われて死んだそうです。そのため戦後の食糧難には大変苦労しました。母の着物や父の洋服が食べ物に替わるのを見て、私は医者の夢をあきらめて、研修中でも収入の得られる看護婦の道を選びました。正看護婦の資格を…

愛の形(Wife's side)

佳子と婚約した勝蔵は性欲に負けて夜の街で女を買い梅毒を貰ってきた。性病は他人に移った時に伝染力が一番強くなる。勝蔵は梅毒の感染を知らぬまま潜伏期間中に初夜を迎え、新妻の佳子にも梅毒を移してしまった。勝蔵は男性器の構造から発見も早く内緒で治…

愛の形(勝蔵と佳子)

昭和20年も押し詰まった12月に勝蔵は南方から復員した。祖国恋しやの気持ちがつのり遠目に九州が見えると聞いてデッキに出たが、半袖でも暑かった南方の島の気候に慣れた体に師走の風が突き刺さった。だが、勝蔵は涙で祖国の山がにじんでもデッキに立ち…

課長の憂鬱な真実。

私の鞄の中には様々なパンフレットが入っている。『太陽熱温水器』『珍しい熱帯植物のジュース』『健康食品やサプリメント』『電気刺激の健康器具』はては『新聞の勧誘チラシ』エトセトラ・ETC。 私は小さな商事会社の課長。自宅から近間であれば日帰りで…

課長の憂鬱な真実。(Wife's side)

うちの人、今週は出張で帰りは金曜の予定。静岡からお得意様回りをするので、今朝はいつもより早く家を出た。私は少し寂しいけれど、娘の方は少し開放モードでウキウキしている様子が判る。リホも年頃だからお父さんは心配しているのに、その親心をこれっぽ…

《ComingSoon》

『課長の憂鬱な真実』脱稿。現在『Wife’s Side』思索中。 女性バージョンは難しい。頭、割れそう。脳味噌、スクランブルエッグ。

通勤電車から女房に送ったメール(抜粋)

仕事の厳しさが増す前には通勤風景を女房にメールしてました。 火を噴いてからは前述の様なモドキモードになりました。 件名:雪? ゆりかもめの新橋駅で雨を見ていると、時おり大きな雨粒がまじる。 ミゾレ?やはり時々雪と思える大粒の水滴が降ってくるが…

最初リブレットに叩き込んだモドキ

男ですから男目線でリブレットに叩き込みました。 (いま見ると単に自分の欲望の表現でトホホ気分です) 男の欲望丸出しですから完結させられたと思います。

『拾った切符 1』

バブルに浮かれた後の不景気は日本経済を半病人にして慢性化の様相を呈してきている。昨日も仲間と赤提灯でオダを上げたが、飲み屋のサラリーマンの話題も湿っている。 睡眠不足と酒に疲れた胃袋からのカーバイトのような匂いをごまかすように、ミントの効い…

『拾った切符 2』

女はゆっくりと味わうように冷酒を飲み、私はのどの渇きを癒すかのように一気に冷酒をあけた。「お酒、お強いのね。」と言いながらの酌を受け、上品な料理を味わい、二杯目も一気にあけると、不思議な落ち着きが出た。交互の酌の間にポツポツと話は出るが、…

次にリブレットに叩き込んだモドキ

女性目線に書き直してみました。 (やはり変 ・ 小説は無理と気付く) その後もリブレットに叩き込むのは続きました。 モドキにもなりませんでしたが仕事のストレスを一瞬忘れられました。

『拾った切符(Woman's side 1)』

最近は本当に不景気ね。バブル絶頂期に入社して、新入女子社員だって残業手当だの何だのと、けっこう手当てが付いて手取りが良かったから男性社員と派手に飲み歩いて楽しかったんだけど、バブルがはじけて残ったものは婚期を逃した私と、浪費家との噂で余計…

『拾った切符 (Woman's side 2)』

鈍い男は酒にも鈍いのか以外と酒に強く、酔うどころか目に欲情の兆しが見え、私の体を舐めまわすように見つめる。酔って暴力でも振るわれては大損だし、警察を呼ぶわけにもいかないので私も覚悟を決めて次の間に入った。男が隣室で立ち上がりワイシャツとズ…

《ComingSoon》

熟年のとば口で非常につらい仕事が回ってきました。出社拒否になってしまいそうな役目でした。そんな仕事でしたから部下とも折り合いが悪くなり、現実逃避の手段として通勤電車の中で東芝のリブレットに小説モドキを叩き込みました。 いま読むと猥雑で醜悪な…