通勤電車から女房に送ったメール(抜粋)

仕事の厳しさが増す前には通勤風景を女房にメールしてました。
火を噴いてからは前述の様なモドキモードになりました。


件名:雪?
ゆりかもめの新橋駅で雨を見ていると、時おり大きな雨粒がまじる。
ミゾレ?やはり時々雪と思える大粒の水滴が降ってくるが、
コンクリートの軌道に落ちても雪粒とは確認できない。
東京は雪に弱い都市だから雪にならないでくれと願った。
今日はラジオを持って来なかったので、天気予報を聞くことができない。
会社に着いたらインターネットで天気を確認しよう。

件名:今日の天気は昨日と大違い。
南西の窓際の私の席からは春霞のかかったような東京の海が見える。
霞んでいるので、羽田空港の滑走路は見えない。
今日は南から着陸し、北に離陸しているらしく、飛行機の通過音も聞こえない。
離陸した飛行機は上昇しながらすぐ南に旋回するので、お台場までは飛んで来ない。
愛する奥さん。今日は送別会で少し遅くなります。

件名:桜咲く?
桜の枝にポップコーンのような花がポツポツと開き始めた。
満開になると、俺が桜だとばかりに主張する木だが、
今はオズオズと様子を見ているようだ。
私が桜を嫌うのは数の暴力を連想するからかも知れない。
ホウの木のような孤高感が好きだ。
さもなければあとは食える実のなる木が好きだ。
今度の土日は桜見物には早そうで、来週が桜吹雪の見頃なのでしょうか?
たしかに桜は散り際が見事で、そこは私も好きです。

件名 : 今日は4月1日
そう。今日はエイプリルフールです。
私は生きるために、自分を守るために。
そして、時には他人を傷つけないために嘘をつきます。
毎日、毎日。嘘をつかない日は無いと思います。
だから、せめて今日1日は嘘をつかないようにしたい。
ちょっとしんみりと考えてしまいました。
な~んちゃって。嘘だよ~ん。

件名:雨が痛い
新橋に着くと、雨模様だ。
降っているのかなと空を見上げたら、ポツリと雨が顔に当たった。
降り始めの大粒の一滴は、ビー玉が当たったかと思う衝撃で、
私にすぐさま地下道を選択させた。
ゆりかもめがお台場に着くと、濡れた路面が太陽の光を反射して眩しい。
上空の雲は切れたが、狭い海をはさんだ竹芝にはまだ雲がある。
わずか数Kmなのに、あちらでは雨が降り、こちらは止んでいる。
見通しのよい分、あちらとこちらの違いが見える。
今日は蒸し暑くなるのかな。

件名:ああ、夫婦
バスの最前列の二人掛け席に、熟年男性が脇に荷物を置き席を占領している。
成田空港行きの切符を持っているので海外旅行だ。
一人掛け席の熟年女性が亭主に、荷物を空けて一人座れるようにと声をかけた。
亭主はガサゴソと二人分の荷物を動かすが、席は空けられない。
再度女房が亭主に声をかけた。
亭主は大荷物を膝の上に全部のせて一人分の席を空けた。
私は女房がそこに移ってくるかと思ったがそうはならなかった。
その亭主が哀れだった。

件名:雨。昨日も雨だった。
昨日は糸のような雨。今日は粉糠のような雨。
お天気が変わりやすくなり、季節がだんだん秋になってゆく。
春とは逆に北から、山から、紅葉の便りが下りてくる。
自然の移ろいに季節のさきがけを感じる歳になってしまった。
そして今、人生の終焉のさきがけを微かに感じる。
来し方。親と住んだ歳月よりもあなたと歩んだ歳月の方が長くなりました。
行く末。あなたにとって、一番良い道を指し示してあげたい。
休みが取れそうです。旅に出てみましょう。