軒(のき)と庇(ひさし)。

  1ヶ月ほど前に夏場の暑さしのぎに、南側の2階のベランダから屋上まで農業用の遮光ネットを張った。毎年の事だが遮光率50%の遮光ネットでは暑さをしのぎきれない。
  そこで、20日に雑草対策で買っておいた真っ黒で光を通さない幅1mの防草シートを4mに切り、幅4mの遮光ネットの上部にホッチキスで止めた。
  作業時はカンカン照りだったので、防草シートを貼り付けた遮光ネットを元に戻したら、防草ネットが軒か庇の様になり部屋の温度も若干下がった。(夕方にもなったし!!)
 
  私の家はヘーベルハウスの軽量鉄骨造りで屋根は平らな屋上式だから、軒とか庇というものが無い。南側のベランダには直射日光がガンガンと降ってくるのだが、わずか1mの防草シートの庇でも部屋が涼しく感じられた。
  そんな気がしたので、朝日の強い時には東側の窓の外にも吸盤で防草シートを貼り付けてみた。すると、薄毛となった後頭部への日当たりが減り、部屋の奥まで射し込む朝日の眩しさも減って朝ごはんの時間が楽になった。
 
  昔の木造家屋には窓の上に必ず庇があった。それは寸法精度の悪い窓からの雨水のしみ込みを防ぐためだったのだろうが、夏の日差しもさえぎってくれた。ところが気密性の高いアルミサッシが普及すると、デザイン面から不細工な庇は窓から消えた。
 
  そんなデザインの変化は自動車にも見られる。フェンダーを軽量化するために、フェンダーに付いていたバックミラーはドアミラーとなった。
  また、回転半径を小さくするために自動車の前の角は丸ぁるくなった。そのためヘッドライトもその曲面に合わせたデザインとなり、ウィンカーもその中に収められた。そんな曲面デザインから、昔は左右のフェンダーに付いていたサイドウィンカーが無くなり、配線も合理的になった。
  だがしかし、本当にドアミラーはフェンダーミラーより役に立つのだろうか。ラリーを少しかじった私は山道でギリギリまでバックするために、左のフェンダーミラーは左後輪が写り込む様に調整していた。そうしておけば細い山道でも安全にバックできた。
 
  はたして様々な変化は使用する人間のためによい結果をもたらしているのだろうか。多くの改良は造る側には便利でも、使う側によい結果なのかどうかは不明な事が多い。
  特に、住宅や自動車などの高価な商品にその傾向が強い。何回も買う商品でないため消費者の声が届きにくいのだと私は思う。
(極言すれば住宅や自動車はメーカーの押し付け商品である)