なぜ一神教(神仏)は世界を席巻できたのか。

  現実世界の王による統治と、宗教世界の神仏による統治が相似である事で、王は『神に認められた統治』と正当性を主張できるのである。
  しかし、それにより国民は現実世界の王による支配と、宗教世界による2重の支配に苦しめられる事となった。中世暗黒時代はそのピークだったと思う。
 
  もう一つの理由は宗教が変化するからである。私が一番面白いと思ったのは南米のインディオキリスト教を布教する際に、インディオが信じていた苦しい時に大岩から出現する『石の子』という言い伝えを、神父は『石の子こそキリストだ』と教えたのである。
  実は、日本にもその様な話はいくらでもある。それが『権現』という考え方である。権現は神仏が人間の形をとってこの世に現れる事であり、徳川家康が権現様と呼ばれる理由もそこにある。
 
  仏教にも創世時代からその傾向があった。私もNHKの番組で最近知ったのだが、アシュラがゾロアスター教のアフラマツダであったとは。アシュラが仏教の敵から味方に変じたという事は、仏教が元ゾロアスター教の地域にまで広がったであろう事も推測できる。
  宗教とは民衆に取り入るために変質するものであり、これは王の統治が変化するのと同じである。そして、これこそ真の教えとして布教される宗教が変遷する事こそ、宗教が古代政治である証拠である。