オウム真理教が行ったマインドコントロール。

  オウム真理教はヨガなど一般の人が興味を持つ事で人を集め、信者を増やした。あるいは信者である学生を通じて、その友人を信者とした。
  今の私からみれば、友人を通して売り上げを伸ばしたマルチ商法か、友達を巻き込んだネズミ講などのインチキ商法と同じ方法による布教だった。
  しかし、若者は簡単にそんな方法に引っかかるのである。自分の利益を優先させて友達を巻き込むのは友達を失う最短距離である事を判らないのだ。
 
  まあ、どんな方法であっても宗教に入った者には布教の義務が生じる。それは会社に入ったら会社の利益のために働くのとなんら変わりない。
  勿論、商売で利益を上げるにはアコギな手段をとるという方法もある。宗教だって同じである。オウム真理教は神秘体験をさせるために向精神薬まで用いたのだ。
  教祖の麻原彰晃(あさはらしょうこう)こと、松本智津夫〈まつもとちづお〉自身も麦角アルカロイド(LSD)を服用して酩酊中に脱糞したという。
  オウム真理教はあの手この手で信者をマインドコントロールしたのだ。
 
  傑作なのはオウム真理教にマスコミが目を向けると、頻繁にオウム真理教の施設上空をマスコミ関係のヘリコプターが飛ぶようになった。
  そうしたら『あれは自衛隊のヘリコプターが偽装して我々に毒を撒いているのだ』と信者を説得した。
  だがしかし、オウム真理教の施設は無人の山中に在ったわけではない。杉並区や世田谷区にもあったのだ。
  自衛隊がヘリコプターから毒を散布して、それがオウム真理教の信者にだけに害を与える事などできるわけはない。しかし、信者はそれを信じたのだ。
  マインドコントロールとは恐ろしいものである。正常な思考を簡単に奪う事ができるのだ。さらに恐ろしいのは『マインドコントロールから開放されるのはとても難しい』という事である。
 
  だがしかし、会社でマインドコントロールという言葉が使われた頃は、社員のモチベーションを高めるために使われた。更に、だがしかし。オウム真理教のマインドコントロールは薬物まで用いた洗脳であった。
 
  それは、国家が覚せい剤という薬物を用いて兵士の士気を高めたのとなんら変わらない。国家というのはそういうものであり、群れて生きる人間とはそういうものなのであると言い切ってしまっては身も蓋もない。
  動物としての脳を理性でコントロールしなければ人間は人間になれないと私は思う。