道志みちを走ると、つい考える事。

 関東から富士山に行くには東名高速を使うか、中央高速を使うのがオーソドックスだが、私は高速料金をケチって道志みちを使う。相模川の支流である道志川沿いの道志みちは夏場も涼しく『こんな所に住んでみたいな~』と思わせる。
 
 実は、大宮に住んでいる頃は子供がいたずら盛りで、子供を思う存分遊ばせたくて高嶺の花の別荘を欲しいと思った。
 そんな時に、秩父鉄道武州日野駅だったか白久駅だったか忘れたが、駅から徒歩5分の安価な別荘のチラシが舞い込んだ。そこで山登りを兼ねて家族で見に行った。公共交通機関を利用するとかなりの時間がかかり、毎週通うには遠すぎるので断念した。
 でも買わなくてよかった。大宮に住んで4年後には前橋に引っ越してしまった。もし、秩父に別荘を買っていてもほとんど行けなかっただろう。また、手放そうと思っても売れなければ税金やペンキ塗りなどの修繕費がかかってしまう。
 
 雑誌(ウッディーライフ)には『別荘は3時間以内で行ける所が良い』と書かれていた。冬場に冷え込んだ別荘に入り、暖房を動かして普段着になれるまでにはかなりの時間がかかる。夏場も停滞した空気を入れ替えてエアコンを動かしてとなると、やはり相応の時間がかかる。別荘暮らしというのはそれらの時間も加味しないと家族から不満が出る。
 
 いま考えると、当時は知恵がなかったと思う。別荘はなにも戸建てである必要はなかったのだ。周囲の自然環境の中で子供を遊ばせたいと思うのであれば、アパートだってかまわない。それに子供が高校になれば親と行動を共にする事は少なくなる。結局、子供と遊ぶための別荘の寿命とは短いものなのだ。
 
 だから、道志みちを走っていて賃貸マンションやアパートを見かけると『子供が小さかったら借りてみたかった~』と思ってしまう。道志には温泉もあるし、川遊びも山登りもできる。ただし、交通の便を考えると行き帰りだけでなく買い物にも車が無いとかなり不自由だから、古希となった今からでは遅すぎる。