私の方向感覚を変えた映画。

 子供の頃は、地図と方位磁針が無いと迷子になったけど、映画『大いなる西部』を観て考え方が変わった。
 
 映画の中で、船乗りだった主人公が1人で荒野に向かう時、西と南に河があり、北に街道がある。そして、出がけには牧童から東に山があるという大まかな地域の情報から方位磁針だけを頼りに荒野に出て行く。
 私は大いなる西部を観て以来、遊びに行く場所の東西南北にある主要道路を覚え、その範囲内で動く間は怖くなくなった。そのうち、晴れていれば太陽の位置から方位磁針を持たなくても方位が判る様になった。それだけでなく、行動中に見える山々が位置をつかむ良い目標となった。
 
 ところが、鹿島工業団地の方に住んだ時には困ってしまった。山は50Kmほど離れた筑波山くらいしかないのだ。それに、いくら平とはいえ標高20~30m位の岡があるから、その岡にさえぎられて筑波山が見えないのだ。
 古くから和歌にも詠まれる筑波山の山容は男体女体の双耳峰なので、南から見れば富士山のごとくに稜線の優美な山に見え、東西から見ると双耳峰に見える。また、筑波山の北側にはさらに山が連なるので、関東平野ではとてもよい目標になる。
 
 私の住んでいる所からは丹沢山塊の大山(別名:雨降山)もよい目標となる。大山は丹沢山塊の南端に位置し、その北に奥多摩の山、秩父の山へとつながる。さらに北関東の赤城山や日光の男体山も見えるはずなのだが、よほどの冬晴れにでも恵まれない限り見えない。
 時に、確定申告で市役所に出かけ、最上階の会議室(確定申告受付ルーム)に行くと、確定申告など忘れて北関東の山々に見入ってしまう事がある。(でも去年は見えなかった)