昨日は終戦記念日。

 NHK地デジで19時30分から20時45分まで『シリーズ日本新生「戦後68年いま”ニッポンの平和”を考える」』という討論番組があった。
 残念ながら、話の中心は軍備増強か外交重視かの二論で国家としてのあるべき姿が語られた気がする。私とすれば、なぜ戦争になるのかという話もしてほしかった。
 
 今年の5月25日のブログ『プロパガンダヘイトスピーチにつながる』の中に(国家レベルで仲が悪くても、国民レベルで仲が良ければ大事にはならない)と書いた。
 だが哀しいかな、我々の他国民に対する感情など政府のプロパガンダによって直ぐに変わってしまうものなのだ。そして国民感情が悪くなれば、国民の中から『戦争やむなし』の声が起こるものなのである。
 
 NHKの放送で残念だったのは、国家が兵士に『覚せい剤ヒロポン)』を支給した事実が話されなかった事である。
 死を恐れない者はいない。兵士に死の恐怖を感じさせなくするために『覚せい剤ヒロポン)』は必須の薬品であった。
 そして何よりも、国家は敗戦後にも罪を犯した。製薬業界を総動員してヒロポンを作らせた国家は、戦後もヒロポンの製造を製薬会社存続のために規制しなかったのだ。
 
 ヒロポンは昭和20年8月15日の敗戦で必要が無くなったはずである。ところがヒロポンの製造を国家が止めさせたのは戦後から6年後であり、その間は『疲労がポンととれる』などの宣伝文のもとに市販されていたのだ。
 ヒロポン中毒になった人間で私が知っているのは、新宿歌舞伎町を根城とした893安藤組の組長。彼は特攻隊崩れだった。当時は『(既存の)893も恐れる特攻崩れ』といわれていたらしい。
 もう1人は漫才のミヤコ蝶々。GHQにより武士道賛美の娯楽を制限されたなかで、夫婦漫才のミヤコ蝶々は多忙を極め、寝る間も無いスケジュールをこなすために、ミヤコ蝶々ヒロポンにはまったという。
 
 ではなぜ、依存性のあるヒロポンを国家は禁止しなかったのだろうか。私は製薬会社の経営が軌道に乗るまで、国家がヒロポン生産を黙認したと思っている。そして、正常経営が成り立つまで国民を犠牲にしたのだと考えている。
 NHKの討論番組にそれら国家の犯罪行為を話す人間が参加していなかったのは非常に残念だった。私は常に、国家の起こす戦争がまず初めに行うのは国民の弾圧である事を知らしめて欲しいと思う番組だった。