戦争は偶発という必然からおこる。

  太平洋戦争の発端は日中戦争支那事変)から始まったといわれる。日本は中国に武力進出し、清朝最後の皇帝である愛新覚羅溥儀を擁立して1932年に傀儡国家の満州国を建国した。
  満州国を足がかりとして日本は中国進出の機会を狙っていた。私は学校で日中戦争支那事変)の発端となったのは1937年の盧溝橋事件だったと聞かされた。それも、中国国民革命軍第二十九軍から飛んできた1発の銃弾が発端だと聞かされた。
  その話が嘘か真かは判らなかったが、戦争とはそんな事で始まるんだと妙に恐ろしかった。だが、この歳になってみれば戦争をしたがっている奴というものは、大義名分のために先に手は出さないかもしれないが、実はささいなきっかけを待っているのかもしれない。
  現在、北朝鮮アメリカも軍事的緊張関係にある。まあ、アメリカから先に手を出す事は90%ないだろうが、北朝鮮が日本にミサイルを撃ち込む確率は高い気がする。
 
  しかし、多分、そのミサイル発射は金正恩の思惑ではなく、ミサイル部隊の末端の兵士の『将軍様を喜ばせたい』という忠誠心から起きてしまう気がする。
  金正恩があれほど強固で頑迷なプロパガンダを行い、国民に世界情勢を知らしめないから、末端の兵士が、まずはアメリカの手先である日本にミサイルを撃ち込んで目を覚まさせてやろうと考えてもおかしくないし、たぶん将軍様から勲章を貰えるだろうと思い込んでもおかしくない。
 
  だがしかし、もし日本にミサイルが1発でも打ち込まれたら、アメリカは『ここぞ好機』と徹底的な反撃を行うであろう。
  北朝鮮は開国以来『娘を泣かせれば親が出てくる』という政治方策をとっている。アメリカが北朝鮮を無視しつづけるから、アメリカを振り向かせるために様々な手というか嫌がらせをやってきた。
  そんな国だから、最強最先端の武器を持ったミサイル部隊の跳ね上がり兵士から偶発攻撃が起きてしまう気がしてならない。勿論、1発のミサイルを撃つ跳ね上がり兵士が考えもしなかった数千にも及ぶミサイルの反撃がある事には考えも及ばないだろう。

 
  金正恩の反米とICBMプロパガンダにはそんな危険がはらんでいる。その上、ICBMの完成は、今までの短距離ミサイル部隊とICBM部隊間に格差が生まれるはずである。すなわち、短距離ミサイル部隊内に功をあせる跳ね上がり兵士が出てきても不思議ではない。