プロパガンダはヘイトスピーチにつながる。

 日韓の関係が悪化してからコリアンタウンと呼ばれる新大久保付近で過激なヘイトスピーチ反韓デモが行われているという。
 以前は韓国スターお目当ての小母様達やイケメン好きの女性達が集まった新大久保で、今は『在日韓国人朝鮮人は出て行け』とか『殺す』という過激なアジ演説までが叫ばれているそうだ。
 
 国家レベルで仲が悪くても、国民レベルで仲が良ければ大事にはならないのだが、国民レベルで仲が悪くなると、デマの様なプロパガンダでも坂を転げ落ちる様に国民感情がこじれてしまう。
 5月23日のブログ『プロパガンダは簡単に行える』で日韓双方の意識調査の事を書いたが、ニュースのコメンテーターが日本で『知っている韓国人は誰?』と聞くと、日本では「ペ・ヨンジュン」などと答えるけど、韓国で同じ様な質問をすると「伊藤博文」と答えるという。
 そして、心の健康状態という事では日本の方が好ましいと話をしめた。
 
 『プロパガンダは簡単に行える』に書いたが、教育は一番簡単なプロパガンダであり、子供の頃に刷り込まれるから、より強力な意識として固定され常識となる。
 常識となった知識を疑うのは5月9日のブログ『常識を疑うのは知性だ』で書いたが、常識に疑問を持つのはきわめて難しい事なのだ。
 ゆえに、歴史として事実は教えても国粋主義を煽る様な教え方を私は好まない。その様な偏った教育での刷り込みは国際社会時代に外国で活躍する人間に育てるための役に立つとは思えない。
 
 プロパガンダが強力に作用するのは社会的不満のある時で、自国の経済状態が悪くなると国民に不満が溜まる。それが自国に向かえば革命につながり、外国に向かえば戦争につながる。
 国家とすれば革命が起きては困るから、国家自身が国民の目をそらすべく外国を敵としたプロパガンダを行う。
 現在の日韓のきしみも、プロパガンダとも言えないささいで小さな事から始まったと思う。そして、韓国大統領の竹島上陸でピークを向かえ、韓国の中で国粋主義的機運が盛り上がった。
 
 同様の事は日中でも起こっている。ともに領土問題がからむから深刻化しかねない難しい問題である。
 しかし不思議である。国際化がより進む現代に、なぜ民族主義的運動が激しさを増しているのか、私にはそれが判らない。