福島第1原発で汚染水漏れ。

 4月6日に福島第1原発敷地内の地下貯水槽から推定120トンの汚染水が漏洩したとニュースが流れた。私はなぜ120トンもの漏洩に気づかなかったのだろうと耳を疑った。どうも汚染水量の変化だけで漏洩を監視をしていたので気づくのが遅れたらしい。そして、別の地下水槽からも漏洩しているらしいとの報道が今日あった。
 学校のプールを仮に25m×10mとすると、1cmの水位低下は2、5トンの水量になる。水量を浮標や標柱などで目視するとなると、1cmの変化など誤差として見逃されてしまう。
 
 私は2011年4月15日のブログ『政府が情報を隠蔽するなら、マスコミも隠蔽している』で地下水の汚染対策に浅井戸や深井戸を掘って監視しなければならないと書いた。当然の事ながら、地面を掘り下げてゴムなどの防水素材でプール式の地下水槽に汚染水を保管するなら、当然の事ながら周囲に井戸を何本か掘って水質検査を最低でも週1回は実施しなければならないのは漏洩対策の常識である。
 
 2011年4月15日のブログは以下になります。
http://blogs.yahoo.co.jp/kuranosuke_taira/23583578.html
 
 
 この漏水の真の原因の根底には技術者の驕りと、人間の怠け心が関係している。
 すなわち、汚染水貯水槽設計の技術者は防水層のゴムなどの品質を信頼して設計する。ところが、地面を掘り下げるのは建設用重機であり、掘削面が設計者の理想とする平面とは程遠い状況かもしれない。
 また、何枚もの防水シートを接着する作業者が重ね合わせや接着剤を設計通りにやっているかどうかも判らない。とかく人間というものは手抜きをする生き物である。
 
 普通の科学技術や身の回りにある文明の利器ならば、設計者の意図しなかった不都合があってもその影響は小さく、たいていが設計者の意図通りに機能し、社会的影響は小さい。
 だが、福島第1原発の事故は国際社会が注目する原発事故である。ここで手抜きは許されない。事故直後に汚染水が海に流れ出たのも世界的非難を浴びているのだ。汚染水の120トンにも及ぶ汚染水漏洩などあってはならない事なのだ。
 
 なぜ福島第1原発事故が世界的に注目されているかといえば、諸外国の原発事故対応の手本となるからだ。
 事故以降ずいぶんと日本は汚染水を海に流している。国際的批判は当然あるが、日本としてのダメージは少ない。
 仮に、利根川の上流。そう。水上温泉とか猿ヶ京温泉あたりに福島第1原発があり、同規模の事故が起きたと考えてみよう。東京を始めとして、周囲のベッドタウンの水道水はほとんどが利根川の水を頼りにしている。
 すなわちそれは、東京から首都機能を奪い、京浜工業地帯の生産を奪い、東京湾の貿易港としての機能を奪う。
 
 何という非常識な設定だと思うかもしれないが、大陸国のほとんどの原発はその様な立地の所に造られているのである。もし、ライン川ドナウ川の上流で原子力発電所の事故が起これば被害は数カ国にわたってしまう。
 福島第1原発の事故対応と処理の経過はそれらの手本となるのだ。だから処理の対応は充分に考え、すばやくやらなければならない。そして、そこに技術者の驕りを持ち込まぬ様に謙虚に考慮すべきだ。
だから本来ならば、イージーミスなどあってはならないのだ。