日本に本当の原発科学者はいない。

 福島第2原発事故は多くの放射性物質を放出し、NHKのニュースでも天気予報と本日の放射線量を流す様になった。だが、これは大気中に放出された放射能であり、海に放出された放射能は無視されて一切発表されていない。
 多分、汚染水の海への放出を明らかにすると漁業補償などに発展し、その保障の算定が地上よりも難しいためにそ知らぬ顔をしているのだと推測する。だが、科学的見地から考えれば、今回の事故は事故対応改善の糸口なので海への放射能汚染水の流出を明らかにすべきだ。
 
 日本の原発は西側諸国の原発に共通する構造であり、もし冷却水を河川から取水する内陸国原発が同様の事故を起こした場合には、放射能汚染水を河川に流出させるケースに相当する。
 日本は海に流出させたので放射能汚染水は大量の海水で希釈されるが、これが内陸国の事故で河川に放出された事を考えると、その影響は下流域全体に及んでしまう。
 すなわち、福島第2原発事故で放出した放射能汚染水の汚染濃度と全体量を公表し、内陸国で同様の原発事故が起きた場合のシミュレーションの資料とする事は、日本の原発科学者に課せられた義務である。
 
 その様な科学的視点を持たずに、政治的経営的視点から海中流出量をネグレクトしていまう原発技術者は技術者ではない。また、日本という国家も国際的責務を果たさない国家でしかない。
 もし、河川から冷却水を取水する原発が福島第2原発と同様の事故を起こしたら、日本の隠蔽は非難の的になってしまうだろう。今は、恥も外聞も捨てて諸外国が福島第2原発事故を他山の石となる様にすべきである。
 
 さて、前置きはこれくらいにしよう。もし、研究者ならば福島第2原発が海に流出させた放射能汚染水量を知る事ができるとしたら、東電と国家は国民を欺いた事になり。本当に知らん顔をしていたとしたら、東電と国家は隠蔽の罪に問わなければならない