私は羽毛布団が嫌い。ベッドも嫌い。

  私が最初に買った寝袋は安い羽毛の寝袋だった。そういえば最初に買った羽毛服も安物だった。まあ、羽毛をダウンと訳すかスモールフェザーと訳すかは知らないが、いま思えば羽毛の寝袋も羽毛服もダウンではなくスモールフェザーだった。それでも普通の防寒着よりは暖かかった。
  そして数年後には調子に乗って羽毛の掛け布団も買ってしまった。嵩も充分にあり見た目には暖かそうだったが、いざ使ってみると綿の布団に比べて軽いものだから、寝返りの多い私には軽さゆえに掛け布団が動いてしまって寒くて目覚める事がたびたび起こった。
  そして私は羽毛布団が嫌いになり、適当な重さのある綿の布団を今も愛用している。ところが綿の布団はその重さゆえ、ベッドで使うと寝返りするたびにずり落ちてしまって安眠できない。そして私はベッドも嫌いになった。
 
  ところが女房は重い綿の布団が嫌いで、布団の打ち直しの時に綿が減少して2組の掛け布団が作れないと言われて、諭吉が数枚飛んで行くダウンの羽毛布団を買った。軽くて寝やすいからと、私のためにも諭吉が10人近く飛んで行くダウンの布団まで買ってしまった。
  普通ならここで『それって悪徳商法でだまされて買ったんじゃあないの』とツッコミが入るところだが、訪問販売でなく駅前のスーパーで買ったから納得の上の購入だったのでご安心を。なおかつ、諭吉の飛ぶ枚数は定価であって、もちろん値引きの時に買っていますからご安心を。
 
  まあ私は羽毛嫌いだから、今は女房がお高い方の羽毛布団を使い、先に買った方はお客様用に保管してある。だけど、ここで2つのの羽毛布団を比べてみると、お高い方が少々嵩が低く、見た目ではお高い方がお安く見える。
  だが、寝てみると嵩が低く見える方が体によくなじんで隙間風が入らないと判った。あ~!!なるほど。ロフトの高い方には張りを出すためにスモールフェザーなどが入っているんだろうなと納得した。
  そういえば、初めて買った羽毛の寝袋と羽毛服は生地を貫いてフェザーの根元がちょくちょく頭を出していた。戻そうとして指で押し込んでもなかなか戻らないので、たいがいは抜いていた。
  もしも、私が最初の寝袋や羽毛服に高級品を買えるだけの経済力があったなら、ヒョットして私も羽毛布団が好きになっていたかもしれない。
  一番最初に買ったお安い羽毛布団のその後は、子供がお泊り会に持っていって布団の引っ張り合いをして破いてしまった。中身はやはりスモールフェザーだった。
 
  ただ、初めてそれらを買った時は給料も少なく、何よりもダウンの値段がえらく高かった。そして、高いダウン製品を使うのはエベレストなど死の領域に登るプロが使うものだと当時の私は思っていた。時代的には1ドル=360円の頃で、その頃から思えば単純計算ではあるが、ダウンは約1/3の値段になったという事だ。
(ウン!円高も悪くはない!!)