助手席の居眠りは腹が立つ?立たない?

 私は助手席で寝られる事に腹は立たない。私自身が助手席で寝る時は運転手を信用するからなので、私の運転で寝てくれるという事は、私を信用してくれている事だと考えるからである。
 
 そう考える様になったのは、寝る事のできない人の車に乗った時からそう考える様になった。その人の運転は徐々に右にずれて、時にセンターラインを超えてしまったり、徐々に左にずれて縁石にタイヤを擦りそうになるので、眠るどころか疲れてしまった。
 後日判った事だが、、その人はストレスのため精神科で処方された薬を服用していたのである。脳に直接的影響を与える薬は危険だと思う。多分、その時は運転手自身の脳の方が居眠りと同じ様な状態になっていたのではないかと思ってゾッとた。
 
 女房は助手席でよく眠た。『助手席では絶対に寝るな』が家訓の様な家で育った女房が助手席で寝る姿を見ると、私は無性に可愛らしく感じてしまった。なんでだろうと考えてみたら、私は子供の寝姿を見るのも、女房の寝姿を見るのも好きだと判った。
 子供が夢を見て顔の表情を変えたり、手足を動かしたりするのを見るのが大好きだったし、時に子供とは思えぬ大きな寝屁を聞いたりすると、女房と二人で大笑いしてしまった。同様に、女房の寝姿も可愛いらしいと見ていた。
 
 無警戒に寝られるのは良い事だと思う。もし、少しでも警戒感を抱く生活だったら、家の中でも誰かの立ち歩く気配で目が覚めると思う。そして、寝たふりをしながら行動を監視するだろう。
 人間、寝ている時は無防備である。寝ていられるという事は安心していられるという事の証明でもあるし、信頼の証でもある。
(寝姿を見るのが好きな俺っていい奴じゃん!!)