あまり熱いとは思わない物。

 摩擦熱。これは気付かないけどかなり熱くなる。自動車のディスクブレーキはホイールの中に入っているので安全だけど、私は原付バイク(100cc)の前輪にワイヤー錠をかける時、ディスクブレーキにふれてヤケドした事がある。走り終わって前輪にワイヤー錠をかける時、手の甲に熱さを感じて手を引き、アレレと思いながら指先でチョコンと触れてみた。アイロンくらいの温度はありそうな気がした。注意してさわった指先はなんともなかったけど、手の甲は赤くなった。
 
 無線電波。電気に感電した時の表現はビリビリだが、これは商用電源の50ヘルツとか60ヘルツでの感電であり、直流だとビリビリではなくガツンとくる。それでは交流ならすべてビリビリかというと、200~300ヘルツくらいが感電と感じる上限周波数で、それ以上になると神経は感電を感じない。
 確証はないが、アマチュア時代に50Mhzの送信機を作っていたら、気づかぬ間に指先をヤケドしていた。半田鏝も使っていたので半田鏝でヤケドしたのか、電波でヤケドしたのか判らないが、あのヤケドは50Mhzでヤケドしたと今も信じている。
 
 半田鏝。熱いのが当たり前の道具だけど、あれが暗闇だとボーっと赤く光る。昔、宿直で常夜灯だけの機械室を巡回していたら、送信機の後ろに薄赤い光が見えた。何だろうと照明を点けてみたら仕舞い忘れの半田鏝があった。光るのが信じられずに照明を消すと、やはりボーっと光っていた。『日勤の奴ら』と腹の中で悪態をついて半田鏝を片付けた。
 昼間は周囲が明るいので半田鏝からは熱しか感じないけど、暗くすれば鏝の熱さに応じた熱線が放射され、300度くらいで昼間には熱しか感じない半田鏝だが、暗ければ赤く光ると知った。
 
 半田鏝がボンヤリと赤く光るのを見て、私は天文学の温度による黒体放射のスペクトルの事を理解した。今度はアイロンを夜に暖めてみようかな。赤く光れば原付バイクのディスクブレーキも赤く光ると思うから。といってもアイロンがけは昼間にやるから赤く見えるかどうかだけにアイロンを暖めるのも馬鹿ぽい。(省エネ!省エネ!!)