亡き人を偲ぶ男の愛。

若い頃にラジオで聞いた話を思い出した。
昔の中国では科挙という高級官僚の登用試験があり、
非常に狭き門の試験であったという。
ある男が都に上り科挙のための勉強に励み、
その男の生活は胡弓の名手の美女がみてやる。
やがて苦学が実り、男は高級官僚となるが、
支えてくれた女は生活苦に亡くなってしまった。
男はその女の愛に報いるために、
面影の似た女と胡弓の上手な女、
二人の女を妻にしたという。
そして、人々はその男の純愛を褒めたという。

後宮三千人』という言葉もあるくらい皇帝は女性を囲っていた。
当然の事ながら高級官僚も皇帝にならい女性を囲っただろう。
そんな時代に、恩ある女性を偲んでたった2人の妻を愛した。
現代日本の常識からみれば不謹慎極まりないが、
皇帝の様に贅沢をする高級官僚の中では清貧に見えたのだろう。