生き物の約束。

 人間の約束?だったかな。ボケの問題を扱った小説があった気がする。
 個の命はやがて老いて死んでゆく。これは決まり切った事実だが、種の命にも同様に決まった定めというものがある。1つは『食料の限界まで増殖する』という事。2つ目は『自己の生成物で死滅する』という事。
 私は甘酒が好きで、甘酒の話題を何回か書いた。今までは甘酒の発酵を止めるために甘酒を沸かすと、70~80度くらいで甘酒の表面にワッと泡が立つ。それが酵母の死であり、それが核兵器に焼かれる人間の姿に重なると何回か書いた。
 ところが、甘酒をそのままにしておくと、どんどん発酵が進んで酸っぱくなる。さらにそのままにしておくと、酵母は自分が作り出したアルコールや酢酸で死んでしまう。これはなにかゴミの中で死んで行く人間の末路を暗示している様な気がする。
 核兵器で死ぬのが人間の愚かさなら、食糧難やゴミの中で死んで行くのは人間の生物としての定めなのだろうか。
 私達は『英知』という言葉を使いたがるが、本当に英知で生き残れるのだろうか。それとも生物の定めの方が強いのだろうか。