サマータイムと経済効果。

  森喜朗東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長が言い出したサマータイムの導入論。これに対し賛否両論様々ではあるが、否はともかく導入を進める賛には問題がある。
 
  いわく。サマータイムの導入は、五輪だけでなく通勤通学の酷暑対策として切り札となる。省エネ効果のほか、余暇の充実、健康増進、観光振興、犯罪の防止などの効果がある。
  第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、サマータイム導入で、個人消費が押し上げられ、年間7千億円の経済効果があると試算している。
 
  だがしかし。これらの賛成論は、私には後付けの屁理屈に見える。真実は多分、各方面のオリンピック関連企業の社員が早朝勤務になるから、必然的に時間外手当を出さなければならない。
  経済界はそんな負担が嫌だから、頭はともかく気のいい森喜朗に真意を隠してサマータイムの導入を持ちかけた。サマータイムの発想の原点は、多分そんなチンケな事であったに相違ない。
 
  だが、よくよく考えてみると、現在の日本は経済格差が広がっている。なおかつ、オリンピックを支える裏方のほとんどが低所得者である。サマータイムの導入で時間外手当の支出削減を画策するより、低所得者の収入を何%かでも増やしてオリンピックの恩恵に浴させるべきである。
  中身を論じないエコノミストの経済効果より、わずかでもいいから低所得者の収入を増やした方が、精神的に意味のある経済効果があるはずである。