ユダヤ人はなぜ金持ちか。

  表題は『日本人とユダヤ人』(イザヤベンダサンこと山本七平著)に出てくる言葉である。内容は国を持たないユダヤ人は自国貨幣も持たないから貨幣に対するプライドが無いので、貨幣を商品として取り扱えるという様な事が書いてある。
 
  国家を持つ国民には少なからず自国貨幣に対する信頼とプライドがある。軍隊も同じ様に自国の軍隊を強いと信じる。だから、自国貨幣や自国軍隊が弱いと言われると腹が立つ。
  私の時代を考えても、最初は1ドルは360円だった。為替が変動制に変わって1ドルが200円になり、バブル期には1ドルが100円以下になった時もあった。もし、戦後のインフレ打開にデノミをやって、100円を新1円としていたら1ドル≒1円で通貨はアメリカと肩を並べられると思ったものである。
 
  それが私の小さな通貨プライドだった。だがしかし、安倍政権以来そのプライドが揺らいでいる。安倍首相の口先により円安が進行し株高となった。
  私の心の片隅に(首相の一言で円相場がこんなに動いていいのだろうか)という疑念が湧き上がったのである。そして、通貨以外で信頼できる価値は何だろうと考える様になった。
 
  一般的に通貨以外の価値を考えると真っ先に出てくるのは金である。しかし、日本の金は高い。イギリスのユーロ離脱騒動では金1Kgが400万円に迫った。とても私の手の届くものではない。
  次に古美術なども考えたが、私には古美術の知識も無いし、見る目もない。それに、保険でもかけない限り古美術の資産価値は自己満足でしかない。
 
  私の知人が不幸にも火災に遭い全焼となってしまった。数点の古美術の皿もあったが、火災保険の請求で購入時の価値は認められず、同程度のサイズの現代の皿の価値に訂正されてしまった。
  その友人は『鑑定書でもあれば評価は変わったかもしれない』と言っていたが、はてさてその真偽は判らない。(保険会社はケチだから評価は変わらない様な気がする)