あの頃、純金を買っとけばよかった。

  この低金利時代に利殖の方法を考えてみたが、素人に判るほど利殖の道は簡単ではない。なにせ、プロに運用を任せた国民年金だって1年半ほどで10兆円もの損失を出してしまうほどに株は難しい。
 
  40年ほど前に大宮から新橋まで京浜東北線で通勤していた時、神田駅の手前の右側にその日の純金の取引金額が表示されるビルがあった。当時は1Kg約120万円だった。
  先日、純金の取引価格をネットで調べたら1Kg約470万円だった。あの時、純金を買っていたら約4倍になっていたという事だ。年利にすれば3%を上回る事になる。
 
  『買っとけばよかった~』と思いはするが、当時の夏冬のボーナスを合わせても私には1Kgの純金など買えるわけもなかった。今となれば獲らぬ狸の皮算用にすぎない。
  とはいえ、100gでもよいから純金を買っておく知恵を働かせればよかったと後悔しきりである。買える範囲で買っておけばよかったのだが、不勉強ゆえに1Kgにこだわり過ぎたのが失敗である。
 
  映画で、亡命する貴族一家が一夜の宿を請う時に『これで今夜泊めてほしい』と高価な指輪を差し出す。すなわち、非常時には一夜の宿は一個の宝物との取引なのである。
  だとしたら、1Kgの純金を1個持つより10gの純金を100個持った方がよいのである。10gの純金なら現在でも4万7千円くらいだから今の私でも買う事ができるし、純金を買おうかと思った40年前なら10g1万2千円で買えたのである。不勉強というものは、時を失しチャンスを見逃すものである。
 
  もし、40年前から毎年100gの純金を買っていたとしたら、現在は純金を4Kg保有し価値は1880万円になる。純金1Kg当たりの投資金額を単純計算で(120万円+470万円)÷2=295万円とすると、4kgの純金は1180万円で買い、差し引きの利益は700万円になる。
  多いか少ないかは判らないが700万円は今の生活で3年弱の生活費になるから、少なくともインフレで目減りする現金よりはましだったかもしれない。