人生損得勘定。

  私の少年時代、私は飛行少年でした(非行少年ではありません)。私の少年時代はアメリカによる占領が終わり、軍国主義につながるとして禁止されていた統制がなくなり、戦争映画も作られる様になりました。
  天才的な特殊撮影の円谷監督がソリッドモデルの飛行機を上下逆さまにして撮影し、映写時には吊り下げた針金が飛行機の下になる様にした事で、模型飛行機を撮影したと気づく観客は少なかったといいます。
  折り紙飛行機も好きだったし、ゴム動力の模型飛行機も好きでした。勿論、太平洋戦争物の映画も観ました。戦闘機の機体の下に写る針金にも気づかずに空戦映画に熱中し、飛行機への憧れはますます高まりました。
 
  そして、働く様になったら軽飛行機の免許を取ろうと思っていました。しかし、しかしです。その頃の1時間の教習料は1万5千円で、手取りの約2倍でした。
  何でそんなに高いんだ~と思いましたが、教習料にしめる保険代が高かったのです。日本は住宅が密集していますから、事故など起こせば安く済むわけはないのです。そんな事で、飛行機の免許は歳をとってからにしようと決めて遠ざかりました。
  そんな計画が歳をとって挫折したのです。実際に歳をとってみて気づいたのは、資格は本人が死ねば消滅してしまうという事実です。

 

  それは自動車でも同じでした。ホンダのS-MXがあまりにもライフスタイルに合いすぎて、買い替えのチャンスを失い、69歳の時に廃車しました。自動車などいつでも買えるだろうと思っていましたが、仮に今から75歳まで乗るとしたら、使うのはたった5年です。
  たった5年に自動車ならば約200万円。もし、飛行機免許だったら約400万円くらいかかるでしょう。ちなみに最後の愛車S-MXの値段は約200万円でしたが、約20年使いましたから1年あたりのコストは約10万円です。
  これからの自分への投資は何もかもが高くなります。これからは所有する事で大きな喜びとなるものを厳選するという事になると思います。さて、それって何なのだろう。