口封じの言葉のある社会は恐ろしい。

  宗教には『教義と相違する』という口封じの言葉があり、共産主義には『共産主義と異なる』という口封じの言葉があります。
  これは、ヒエラルキー上位の者が下位の者に対して使う恫喝の言葉です。口封じの言葉が発せられた後には、えてして悲劇が起こります。
 
  私の記憶にあるそうした悲劇は浅間山荘事件です。20歳前後の若者が日本赤軍という徒党を組み、共産主義革命を起こそうとしましたが、グループ内での恋愛は『革命的ではない』と自己批判を迫り、結局は殺してしまいました。
  すべての実権をトップの女性が握り、その判断がグループ内悶着に終始した様で、グループの人数は減りボロボロになりました。そして、警察の追及を逃れるために隠れ住んだ榛名山から迦葉山へ、さらに浅間山にあった浅間山荘というある企業の保養所に立てこもり逮捕されました。
 
  それでは、宗教や共産主義以外ではその様な事が起こらないのでしょうか。実はそんな悲劇が日本でも起こったのです。遠い昔の事ではありません。軍国主義国家だった戦前の日本がそうでした。
  その時の国家は『非国民』や『売国奴』という言葉で国民の口を封じました。それでも口を開く者は思想犯を弾圧する特別高等警察(現在の公安警察)が投獄し、暴行し、獄死させたのです。