なぜ宗教はこれほどまでに広まったか。

 中国の孔子の教えは『儒教』として黄河文明諸国に影響を与えた哲学であり、現在の宗教哲学とは一線を画している。私は3大宗教よりも儒教は優れていると思う。
 孔子(前551~前479)は釈迦(前463~前383)よりも前の時代の人間であるから、孔子の教えに3大宗教は影響を及ぼしていない。
 
 それではなぜ、儒教は宗教の様に広まらなかったのだろう。私は儒教人間性を高める禁欲的な教えであり、地獄や極楽(天国)を導入しなかったからだと考える。
 かたや、3大宗教は地獄や極楽(天国)という死後の世界を組み込んで『現世で良い行いをしない者には死後に苦しみが待つ』という考え方をした。
 ゆえに『苦しい現世の後の来世でも苦しむのはゴメンだ』という恐怖心につけ込んで良き行いをせよと強要した。私は、宗教のそこが気高さの点で儒教より劣ると考える。
 簡単に言えば、3大宗教は『恐怖心』で人々を縛ったゲスな教えである。
 
 だが、現実として儒教は衰退し、地獄や極楽(天国)を導入した3大宗教は広まった。これは、卑近な例の「罰則の無い法律は守られない」と同じである。
 儒教はあまりにも禁欲的すぎて、人間の大多数を占める凡人に守れる教えではない。もし、儒教の教えが宗教を押さえて全世界に広まっていたら、世界はもっと住みやすくなっていたと思う。