核戦争を望む普通の人々。

 私がある地方都市に住んだ時、キリスト教原理主義信者の方と時には食事をするくらいのお付き合いをしました。平素は紳士的で質素な方でしたが、ソ連アフガニスタンに侵攻した時に狂気の様相を私に見せたのです。本格的に米ソが戦争をして、核兵器までが使用される世界大戦までスカレートする事を望んだのです。
 なんのためだとお思いですか。その方は神の王国に行くための最後の審判を望んでいたのです。神がお決めになる最後の審判の日を人間の手で起こそうと言うのです。たとえ、人為的に起こした人類存亡の危機であっても、神は人類が滅亡する寸前に最後の審判を行うので実質的に核兵器は使用されず、選ばれた者のみが神の王国に住めると言うのです。
 ハルマゲドンを自作自演しようとしたオウム真理教に似ていますが、アメリカにはキリスト教原理主義者が沢山いて、軍隊やペンタゴンやCIAで働き、ロビーストとして政治を左右し、大統領選にも非常に大きな力を発揮します。勿論、その力で大統領になった人もいるのです。
 私は宗教が大嫌いです。絶対的真理を振りかざして少しでも外れる考えを徹底的に排除し、時にはその絶対的真理で人を殺す事に躊躇すらしない狂信性が恐ろしいし、自分の信ずるものが絶対的に正しいと思い込んでいる狂信性が大嫌いです。
 では、こうした普通の人々の戦争願望をどうやって防げばよいでしょうか。素朴に『神の王国』願望から戦争を待ち望む人々を皆殺しにするという案はどうでしょうか。ホロコーストは戦争以上に悪い事ですね。でも大丈夫です『最後の審判』の日には死者は蘇り神の審判を受けるのですから、死は一時的な休息にすぎません。
 もし、私がそれを実行したら私も狂信者です。私が個人的にそれを行えば単なる殺人で、私は殺人者として裁かれます。でも、私が国家の軍隊の兵士で国の命令でそれを行えば殺人者にはなりません。その辺は映画『殺人狂時代』でチャップリンがもっと上手に表現しています。戦争については同じくチャップリンの『独裁者』も面白いので、ぜひごらん下さい。
(質素で穏やかで真面目に布教活動する信者の姿からは心の底で戦争を望んでいる事など絶対に読み取れません)