原子力発電は『スクラップ&ビルト』の原則に当てはまらない。

  私は、現代文明を盛り立ててきたのは、すべてが『スクラップ&ビルト』の原則に当てはまっていたからだと思う。
  昔は、堅固な建築物は石造りで完成までに長い時間がかかったが、現代文明はコンクリートを発明して、従来の石造りの建築物以上の物を短時間で造り上げてしまう。製鉄にしても、同様に短時間で大量のスチールを造ってしまう。
  私は『スクラップ&ビルト』こそが現代文明の必須条件だと信じていてる。
 
  ところが、現代文明は原子力発電まで造ってしまったが、これは『スクラップ&ビルト』の原則に反する文明だと思う。原子力発電は『短時間で建設して、長時間使い、短時間で壊す』という原則に合わないのだ。
  まあ、原子力発電所だって短時間で造れるし、長時間使う事もできるのだが、壊すのは使用時間と同じくらいの時間がかかる。なおかつ、原子力発電所という産業廃棄物は放射線が減衰するのに長い時間がかかるので、保管という余計な仕事が長時間続くのである。
 
  原子力発電という現代文明の鬼っ子は、現代文明の大原則である『スクラップ&ビルト』の原則から外れる物である。すなわち、原子力発電は新しい考え方のスキームが定まらない限り、今すぐには利用すべき技術だと私は思わない。
  原子力発電を本当に利用しようとするならば、原子力関係者は万人が納得できるスキームも構築すべきである。