ぶっちゃけ。子供自慢をする不幸な老人。

  ぶっちゃけシリーズ第6弾で~す。今回は寂しい独居老人の話です。
 
  近所の一戸建てに老婦人が一人で住んでいます。週に何回かデイケアの車が老婦人を迎えに来るのですが、車が着いてから乗り込むまでに10分近く時間がかかってしまうほどに肉体が衰えてしまっているのですが、息子達はだれも引き取ろうとはしません。
  それでも、毎週末には息子達が交互に立派な車で母親を訪ねて来ます。
 
  息子の1人は大きな病院の医者だそうです。それなら、母親の生活状況など一目で判るはずです。それなのに、自宅に引き取る事も、施設に入居させる事もしないのです。
  もう1人の息子も高級なドイツ製の車でやってきます。職業は判りませんが、この息子も医者になった息子と同じ様に様子を見にやってくるだけです。
 
  それでも、この老婦人は新聞を取りに出てきた時など、ご近所さんに会えば『息子は大病院の医者になって』とか『男の子は気が利かないわ、健康に良いからと水ばかり持ってきて。水なんか水道の水でかまわないのに』と同じ事ばかり言います。息子が出世した事や、来る時には何かを持ってくると自慢したいのです。
  本音はもっと別にあるのでしょうが、息子の不甲斐なさをご近所さんに話すわけにもいかず、会う人には息子の自慢話をする。そんな話に、私は違和感を感じます。
 
  歳をとって、自分の身さへままならないのに、他人には虚勢を張って息子達をかばう。これが親心なんでしょうが、老人の事を『二度わらし』と言う地方もありますから、老人だって子供の様に『疲れた』と言えばいいのにと私は思います。
  多分、この老婦人は心の中で(もう少し衰えたら息子達が面倒を看てくれる)と思っているのではないでしょうか。もしかして、それを生きる支えにしているのかもしれません。子供自慢をして独居を続けるなんて寂しすぎる老後です。
 
  私の一番の心配は。もし、この老婦人が火事でも出したら大変だという事です。この老婦人の家には3軒の木造住宅が接近して建てられています。多分、周囲の3軒は類焼をまぬがれないでしょう。でも、時々しか来ない息子達は気づいていないみたいです。
  子供が老親を看られなければ適当な施設に入れるというのは、今までの常識では一見親不孝かもしれませんが仕方がないのではないでしょうか。
  でも、一番哀れなのは。強者に媚をうらなければ生きていけない人間の本質です。赤ちゃんですらそれを本能的に受け継ぎ、あどけない笑顔を親に見せ、歳よりは息子や娘や嫁などに媚びるだけでなく、孫にまで媚るのです。そうしないと家族から見捨てらはしないかと不安で仕方がないのです。