腕時計のカタログ(10時10分30秒)

  私が若い頃、腕時計は高い商品だった。チョットしゃれた腕時計の値段は給料では間に合わなかったし、国産でも自慢できる腕時計となるとボーナス+αは覚悟しなければならなかった。
  私の初めての腕時計は就職祝いの手巻き式腕時計だったが、数年すると自動巻きの腕時計が欲しくて欲しくてたまらなくなってしまった。
 
  ところがそんな矢先。仕事中に金属ベルトだった腕時計から感電してしまった。200Vだったのでガツンときて左腕がシビレてしまった。私は腹立ちまぎれにシビレた左手から腕時計を引きちぎり、床に叩きつけて壊してしまった。
  そしてそれ以来、私は腕時計をしなくなった。とはいえ、時計が無くては生活ができないので、懐中時計を買った。
 
  それ以来、腕時計のカタログなど見なくなったが、女房の腕時計が壊れたので買ってやろうかと思ってカタログをもらってきた。そして驚いた。腕時計の写真の時計の針がバラバラなのだ。
  昔は、どの時計メーカーの写真も、針の位置は10時10分30秒。もしくは、10時9分30秒になっていたものだった。
  3本の針の角度が120度に開いているのが安定感を感じさせるからだと私は思っていた。だが、今の腕時計の写真の針はてんでんばらばら。最初は違和感を感じたが、それぞれの腕時計のデザインと合わせた個性の演出と考えたら、だんだんそう見えてきた。
  安定が最優先だった高度成長時代と、個性の時代。腕時計のカタログの写真にも、時代が強く反映させているということか。(納得!納得?)
 
  だけど?針の角度が120度に開くのなら1時50分30秒だってあるだろう。3時40分ピッタシは少しくるしいか。
  左右のバランスは悪くなっても1時44分25秒とか、6時55分15秒とかもある。さて、何時何分何秒が一番120度に近い角度になるのだろう。まあ、ゆっくり考えてみるか。(できるかな?できね~えだろ~な!たぶん!!)