親も兄弟も親戚も教えてくれなかった事。

  私は勉強が大嫌いで大学進学など毛筋ほどにも考えた事がありませんでした。各学期に中間試験や期末試験、そして教師の気まぐれで行う様々な試験。この試験というのも死ぬほど嫌いでした。
  とにかく早く就職したいと思い、希望通りに趣味であった無線の仕事に就く事ができました。メデタシ、めでたしです。ところが、そこに大誤算がありました。実社会には学校よりも厳しいテストがあったのです。
 
  就職すれば最下位の平社員です。もちろん仕事も判りません。先輩は仕事を教えてくれますが、それは1回だけです。次の時に「どうしましょう」などと聞けば、また教えてくれます。しかし、明らかに不快の表情もしくは軽蔑の感情の香りを感じます。
  3回4回と聞けば『早く覚えろよ』などの言葉か返ってきて、明らかに『バカ』のレッテルを貼られたのを感じました。
  もちろん、レッテルが増えれば社内での扱いも変化してきます。物覚えの良い後輩が尊敬する先輩に可愛がられたりすると、自分の頭の悪さはさておき嫉妬してしまいました。
 
  なんで、親、兄弟、親戚は『実社会は1秒、いや瞬間瞬間で評価が下されるんだよ』と言ってくれなかったんでしょう。まあ、そんな事を聞かされても理解できなかったと思いますけど。
  恥をかき、いっぱい『バカ』のレッテルを貼られましたが、この歳まで生きてこれたのだから、マッいいか。今はそんな気持ちです。