失恋を朗々と歌う女。首吊りの足を引っ張る様に失恋を歌う女。

  失恋を朗々と歌うのは高橋真梨子で、首吊りの足を引っ張る様に失恋を歌うのは中島みゆきである。女房は高橋真梨子が好きだったし、私は初期の中島みゆきが今も好きだ。
 
  女房は働いていた時にカラオケをすすめられると、必ず高橋真梨子の曲を選択した。私はある時『あなたが歌う高橋真梨子の歌は全部失恋の歌だよ』と言ってしまった。
  そして女房はその歌詞の内容の悪さに気づいてしまい、歌えなくなってしまった。どうしようどうしようと悩む女房に、私は責任を感じて島倉千代子レーザーディスクを買って渡した。
  だけど絶対に変だ。歌詞の内容が判らない外国語の歌ならともかく、高橋真梨子の歌い方に魅了されて歌詞の内容を考えずに歌っていたのを知って、私は少なからず驚いてしまった。
 
  私は中島みゆきが好きで、初期のLPから12枚目のアルバムまで集めたが、結局は初期の1~3が好みである。
  まあ、好きといっても条件付の好きである。初期のアルバムの歌詞が虚無的で人生否定的で、聞くぶんには(ホ~、言ってらあ、語ってらあ)とこちらも無関心の外に心を置いて聞いていられる。だが、あれが自分の娘であったらブン殴っていたと思う。縁もゆかりも無い赤の他人が歌うから聞けるのである。
  だがしかし、高橋真梨子が好きだった女房は中島みゆきの歌を『耳汚しだ』と言って家ではかけさせてくれないので、私はCD-Rに焼き直してカーステレオで聞いていた。
 
  中島みゆき以外でCD-Rに焼き直してよく使ったのは喜多郎シルクロードである。これを高尾山や奥多摩の端山を歩く時にかけると、端山歩きも気宇壮大になるのである。
  そうだ。これからはCD-Rでなく通信機能の壊れたスマホシルクロードを入れて、しばらく行っていない端山歩きを復活させてみようかな。(中島みゆきは絶対に入れないでおこう!!)