葬儀不要、戒名不要、でも遺影は必要。

  死んだら焼いてもらうだけでいい。自分では一応仏教徒と思っているから家族は戒名を考えるかもしれない。だがそこまで仏教を信じているわけでもないから戒名もいらない。
  だけど遺影はほしい。親父を焼く時だったけど、4基ある焼き釜のうちの親父の釜の前に遺影と白木の位牌と花を飾った。焼き上がった骨は個人の特徴が無いので、もし釜を間違えたら家族は他人の骨を持って帰る事になってしまう。
  死んでしまったのだから骨など取り違えられても別にかまわないのだが、骨壷に入れられて暗い墓石の下に納骨されたのでは私の死後の予想が変わってしまう。これは勘弁してほしい。
  だから、位牌は必要ないがせめて焼き釜の前には遺影くらい置かなければならないだろう。
 
  親父の遺影は親父が元気だった数年前の家族の集合写真の顔と、他人の羽織姿から遺影を作り出した。
  まあ、私の場合もそれでもよいのだが、私は顔にコンプレックスがある。だから写真も少ないし、数少ない写真から遺影を作るのは嫌である。
  できれば写真でなく似顔絵にしてほしい。とはいえ、町にいる似顔絵描きは特徴をことさら強調するので、顔にコンプレックスのある私は使えない。
 
  私のコンプレックスはチッコイ目と、睫毛と眉毛の薄さである。口の悪い同僚は私の眉毛を『点々眉毛』と言った。腹は立ったが事実だからしかたがない。
  遺影用の似顔絵はくっきりした目と睫毛と眉毛に描いてほしい。この人に絵を描いてもらいたいと思っていた人はいたのだが、私自身すぐ死ぬとは思っていないので、なかなか言い出せずにいたら知らぬ間に転居してしまった。
  しかたがないから『ゴルゴ13』の顔を拡大コピーして私の遺影と偽ろうかな~。でも似ていないんだ~。どうしよう?魚拓ならぬ顔拓でもとるか!歌舞伎役者みたいに!!