上げた拳の降ろし所。

  さて、安倍首相が来年4月に消費税を上げると公約して円安政策や投資政策を打ち出してみたけど、庶民の購買意欲は一向に回復しない。最近の安倍首相はその公約の降ろし所を探していた様な気がする。
  そこで、伊勢志摩サミットの席でリーマンショックの話をぶち上げ、すかさず消費税を先延ばしした。これで夏の参院選挙の大勝は手に入ったも同然である。もし、野党が内閣不信任でも出したら、衆院も解散してダブル選挙に持ち込み衆参両院で勝利できる予想を抱いているのではないだろうか。
 
  それはなぜかと言えば、選挙権年齢を18歳に下げた事も功を奏すると読んでいるからだと推測できる。
  若者の多くは国粋主義に弱いものである。国家と民族の話は感覚的で判りやすいので、まだ若い脳は素直にそれを受け入れ、狡猾な老人が考える裏の事情を読めずに、国粋主義的主張の政党に投票するものである。
  安倍首相は自前の軍隊や自前の核兵器も持ちたいし、徴兵制も復活したいのだ。その野望を感覚的なオブラートに包んで、若い有権者に飲み込ませようとしている。
 
  ところが、安倍首相の抱いている夢はほとんどが間違いだ。景気回復をもくろんで1億総活躍社会というスローガンを立てたが、定年退職させた人間までもが働いても労働人口が足りないのだ。さらに、外国人労働力の導入などと言うのは国粋主義とは正反対の支離滅裂な考えである。
 
  かなり前の事になるが、若い女性が『韓国では徴兵しているし、日本もそうすべきだ』と言っていた。しかし、韓国旅行をした事があるというその若い女性は、韓国が北朝鮮と戦争中であり、一見平和に見えるのが停戦状態だからという事を肌で判っていないのだ。
  安倍首相から見れば美味しい若者思考である。すでに戦争経験者は少なくなり発言力も弱いし、老人の戦争体験談など若者には世迷い事にしか聞こえない。『改憲再軍備の好機ここにあり』が安倍首相の腹の内なのだろう。
トランプ大統領と安倍首相の組み合わせが私は恐い)