体は全力を尽くして修復する。

  女房が去年の12月中旬に背骨を骨折し、打ち身で肉を潰した。体は全力でその修復をする。打ち身で死んだ細胞は分解され、有益な物は再利用されるか肝臓に蓄積され、害となる成分は腎臓から尿として排出されたはずである。
  そして欠損した細胞を補うために、体はあちこちからたんぱく質を捻出して打ち身で失われた細胞を再生したはずである。
 
  入院初期に女房の背中にスルメ臭さを感じた私は、女房に打ち身の腐肉の排出がすすむからと説明して『水をよく飲むように』言った。
  数日したら女房が『手の甲の筋が浮き上がってきた』と言う。コルセットのできる前だったので体重を量る事はできなかったが、女房のその言葉に、体は自分の持分で失われた肉を作っていると直感した。
  骨折も同様だと思う。体のあちこちの骨からカルシュームを持ってきて骨折部分に充当したはずである。
  とにかく、体というのは現時点での持分を融通して肉や骨折の修復をすると私は感じたので、退院したらつじつま合わせで不足した肉とカルシュームを多くとらせようと思った。
 
  女房がこんな怪我をするまで、私は体が修復のための材料を自分の体のあちこちから融通してきてつじつまを合わせるとは思っていなかった。そして『老人は平均体型より少し太めの方が健康』という言葉の意味を理解した。
  そしてまた、医者の言った『太目の女性に骨粗しょう症は少ない』というのも、普通の日常生活をしていれば、自分自身の体重が負荷となって骨を丈夫にすると理解した。
  今回の家庭内事故でバラバラだった知識がリンクして知恵になった気がする。