女房が入院した整形外科病棟。

  入院して2日目、女房はICUから一般病室に移された、私が見舞いで最初に感じたのは、、とにかく老人が多い事。まるで養老院の様だと思った。若い人もいるのだが70%くらいが老人である。65歳の女房が『若いわね~』と何回か声をかけられたくらいであり、出会った最高年齢者は94歳であった。
  若い入院患者はそれなりの事故が原因で入院しているが、老人の患者は草をむしっていて後ろに転んだくらいで足や骨盤を骨折する典型的な骨粗しょう症が多い。また、若い人はぐんぐん回復していくが、老人はリハビリでストレッチや歩行の筋トレをしても、回復は芳しくない。
 
  私は、女房が脊椎圧迫骨折なのに2週間ちょっとで退院させられたのが不満だった。退院証明書の転帰理由も『治癒』『治癒に近い状態』でなく『その他』にチェックを入れられていた。
  すなわち、回復の兆しも見えぬままに退院となったわけで、毎日の様に洗濯物を届け、汚れ物を持って帰る姿や、リハビリのやり方を私が見ていたので自宅療養ができると判断された様な気がする。
 
  今となれば、足しげく病院に行ったのが良かったのやら悪かったのやらであるが、女房は退院をすごく喜んでいる。とにかく老人の繰言を聞いていると自分もボケてしまう気がしたからだそうである。
  夕食が終われば患者の1人時間となり、不安がわき上がる。自然と『私は家族に捨てられた』だの『カンロ飴が欲しいの、お金はありますから買ってきてください』だの『私は自分のやりたい事を我慢してきた。それなのに誰も見舞いに来ない』とか『お父さん○○が見舞いに来ましたよ』と4年前に死んだ旦那に話しかけたりと大変だそうである。
 
  そんな中で女房が感じた恐怖は『ここにいると私もボケるかもしれない』というものであった。まあ、私からすればすでに若干のボケが始まり、階段から落ち、さらに頭部打撲で転落前の80%しか頭が働いていないのだが。まあ、それでもボケの恐怖を自覚したのはよい事とした。
  さて、女房もボケに目覚めたところで、現実のボケ防止をどうするかである。いろいろ考えた末、自宅でも夫婦2人となれば話題は限られ、毎日が昨日の繰り返しになる。新しい風を取り込む事で脳を活性化させようと、私は考えた。
  私の住んでいる町には相続税を物納したお宅があり、そんな物件が地域コミュニティーとして開放されているから、夫婦でそこにおじゃまし、多くの人と交流して脳の活性化を図ろうと、私は考えている。
  多分、共感脳の女性の脳を活性化させるにはよいだろうと、現時点では思える。