初恋はたいがい片思い。

  先月だったと思うけど、NHKで漫画家みつはしちかこの話と片思いの話を抱き合わせでやっていた。彼女の代表作である片思いの『小さな恋のものがたり』が、彼女の体の都合でチッチとサリーに結論が出たのである。
 
  だけどね~。私的には、チッチとサリーの関係って片思いだとは思わないんだけどな~。片思いといいながらあれだけ2人になれて、話もできて、2人で外も歩く。あれは、私的には両思いだ。
  私の初恋は告白する事もできず、誰にも相談できずに1人で悩み苦しみ、布団の中で涙を流し、結局は愛しき人の姿をオカズに自ら慰めたものだった。
 
  みつはしちかこも私と同年代である。当時の風潮は『2人で喫茶店に入れば恋人同士』であり『2人で食事をすれば肉体関係がある』と思われた時代である。そんな時代の風潮からすれば、チッチとサリーは立派な両思いの恋人である。
  ただ、その放送で面白かったのは、街頭インタビューされた人達は皆『片思いは切ないけれど、片思いこそ純粋な愛』と考えていた事である。それを見て、私も(ウン。そうだ。わかるわかる)とうなづいてしまった。
 
  見合いで結婚して女房を大好きになったが、初恋で告白もできなかった時の方が恋する思いは強かった。そして今でも当時を思い返せば、切ない思いの記憶がよみがえる。自殺願望がありながら死の垣根をまたがなかった事で、心は若かった頃に舞い戻る事ができる。
  人間は現時点で生きているが、記憶でも生きているのだと今は思える。(歳をとれば悪い記憶がよみがえった時には苦笑して屁をこいて寝てしまう図々しさも身につくものである)