杏の梅酢漬け。

  梅と杏は形がそっくりです。いつも買い物の時に通るご近所さんの庭の道路沿いには杏の木があり、梅よりも大きな実をつけます。前から1度大きな梅漬けを作ってみたいと思っていたのですが、大きな南高梅は杏より高いので、杏でナンチャッテ梅漬けを作ってみようかなと考えていました。
  そして今年。杏が安くなった時に2パック700円ほどで買ってきました。馬鹿な思いつきなので、小さな2リットル瓶に10個ほどの杏を入れて梅酢をそそぎ、杏が浮き上がるので、空気にふれたところから腐らない様にキッチンペーパーで杏を押さえる様に蓋をしました。
  そろそろ味見をしてみたくて、1個取り出し、包丁で少し果肉を切り取り食べてみました。
  結果は女房のいう通りでした。杏の梅酢漬けを作る時、女房は『そのまま食べて美味しいものをまずくして食べる事はないでしょう』と言ったのです。味の方ですが、私的には「梅漬けとほぼ同じ、まあいいじゃん」レベルですが、生の杏より更に美味しくなったというわけでもなく、女房にすれば「なんで梅酢に漬けたの?」レベルでした。もっと美味しくなる事を願ってもう少し漬け続けます。(期待外れそう)
 
  まあ、私はこんな失敗を何回も繰り返してきました。最初に勤めた伊豆七島ではいろいろな焼酎漬けを作りました。
  山からもいできたアケビ数個で作った焼酎漬けは渋味が口に残り、飲み続けられませんでした。安く買ったイチゴは果肉が柔らかくて浮き上がり、腐ってしまいました。パイナップルの焼酎漬けは氷砂糖+果物の甘さで飽きてしまいました。
  いただいたカリンは皮をむいてざく切りにして漬けましたが、やはり甘すぎました。いただいた不揃いの夏ミカンは半割りにして漬けましたが皮の渋みが出てしまいました。
  後で知ったのですが、柑橘類は皮から香りも出るのですが、渋みも出るので半数くらいは皮をむき、白い筋を根気よく取って漬けるとの事でした。
  そんなこんなの、甘すぎて飲み飽きる焼酎漬けはお袋に上げたと言えば体裁よいのですが、押し付けました。お袋は夏場に氷水で薄めて何年もかけて飲みました。でも、アケビの焼酎漬けは遺品整理の時にも残っていましたので、庭に穴を掘って埋めました。
  私がいろいろな焼酎漬けを作った頃は、厳密に言えば梅酒も密造酒でした。だから、おかしな焼酎漬けを作る私に変わった物をくれる人がいたのです。出来上がると飲んでもらいましたが『香りはいいな』とは言いましたが、2度と飲ませろとは言いませんでした。
 
  歳をとってから久々に梅酒を作った時には、お袋から教わった今までの手順の、瓶に氷砂糖を1Kg入れ、青梅約2Kgを入れ、焼酎を2リットル入れるという手順を変えました。
  瓶に青梅を入れ、焼酎を入れる。氷砂糖は青梅が瓶の底に沈んでから、麦茶などを煮出す時に使う球形の茶漉しに氷砂糖を入れて、瓶の焼酎の上の方に吊るしました。
  そうすると、茶漉しの氷砂糖は1~2日で溶けきりますし、味をみながら少しづつ氷砂糖を入れられるのでいい具合です。それでも、その梅酒は今も残っています。それは、甘さを女房の口にあわせたので、私には甘すぎるのです。
  それなのに、無責任にも女房は『お酒は私の体に合わないみたい』と飲まないのです。時に梅を1個食べる事がありますが、すぐに寝てしまいます。(ケーキにかかっているラムやブランデーでも寝てしまうから仕方がありません)