結婚の経済学。

  私は経済を学んだ者ではありませんので、表題をそのままに読んでもらうとおかしな事になるのを最初にお断りしておきます。
  でも、個人が結婚という制度で集合体として生活をするのが、企業の合併に似ているから、そんな表題をつけてみました。
 
  結婚という風習で個人同士が結びついて家庭を築くという事は、企業の合併と同様に、そこに何らかの利点がなくてはならないと考えられます。たとえば、それぞれが2箇所で別々に暮らしていたのが、1箇所で暮らす様になれば部屋代が節約できるとか、1人の時より大きな部屋に移れるとかいう事なのです。
  勿論、2人の人間が共に暮らせば便利になるだけでなく不便になる事もあります。まあ、何かを決定する時に、1人暮らしならばすぐ決定できたのに、2人になると相談するという煩わしさは当然でてきます。でも、結果として欠点よりも利点が上回れば合併も結婚も成功なのではないでしょうか。
 
  同様な考え方は恋愛においても同じだと思います。デートや恋愛相手を引き止めるために生活費を削り、恋人のいなかった時よりも生活が苦しくなったというのでは本末転倒だと私は思います。
  かなり昔ですが、まだ同棲が珍しかった頃に恋愛の末に同棲した後輩がいました。ところが同棲したらその男に多額のローンのあるのがバレました。後輩はプレゼントをローンで買ったと言い訳(事実?)をしたのですが、彼女には経済観念の無い男と思われて同棲は破綻してしまいました。
 
  あと、記憶に残るのは、種子島出身のバラエティー番組でよく見かけ、野草の食べ方も知っていた若い女性が恋愛中に自殺するという事件がありました。捨てられて自殺したというのはよく聞く話ですが、恋愛中に自殺するのは珍しかったので覚えています。ただ、周囲の話では恋愛で悩んでいた様子だったそうです。
  それは多分、女性と男性で恋愛に求めるものが違うからではないでしょうか。男性から言わせれば、女性は『愛』とか『優しさ』とか形の無い物を求めるので困惑します。反面、若い男性は女性の肉体を求めているのです。だから、女性から別れ話など出されるとストーカー化してしまいます。
 
  きっと、自殺した種子島の子はそれを薄々と感じていたのではないでしょうか。そうそう、もう一つ思い出しました。東ちづるが身を任せた男性は未婚と言って近づいた既婚者でした。そして破綻した後に、彼女は『はい、勉強させてもらいました。性生活のお勉強を』とテレビで語りました。頭の良い女性ですが、そう話せる様になるまでには相当悩んだと思います。
  人間の心というのは、肉体よりも弱くて傷つきやすいものです。いま日本テレビが水曜日の午後10時に『Dr倫太郎』という精神科医のドラマをやっています。原作者のペンネームは清心海(精神科医)といい、ここには様々な心の傷を持った人が出てきます。
 
  肉体的な傷だって血は出るし痛みはうずくし、苦痛です。もし、傷口のかさぶたを無理矢理はがす奴がいたら『鬼~。悪魔~』と叫んでしまうでしょう。心の傷でも同じです。でも、それは肉体的な傷の様に目には見えませんので、他人はそこに傷があると思わずに傷に触れてしまう事があります。
  そんな時には、心の傷に触れない様に頼むしかありません。そう告げても心の傷に触れる奴は記憶障害の病人か、サディスティックな異常者です。そんな奴からは遠ざかるしか方法がありません。
  ただ、傷を治す医者は傷にふれなければなりません。肉体的な傷も心の傷も自然治癒には時間がかかります。でも、医者の手当てにより回復が早まる事もあるのです。治療のために傷にふれられるのは痛くても、早く治るのであれば我慢するしかありません。
 
  企業合併でもそれに似た事が起こります。企業合併で対等合併というのはありえません。合併で新しい企業となっても、吸収した方が吸収された方を軽んじるとか、社内ルールは吸収した方の慣習が踏襲されるとか、様々な軋轢が生じるものです。
  当然ながら、サラリーマンで大切な人事にも差別があります。結局は、人間が会社を運営するわけですから、経済理論で動く会社にも人間社会の煩わしさが存在するのです。
  そんな企業合併の傷も時間の経過により自然と落ち着いてきます。まあ、そんな所も傷の自然治癒に似ています。