モチベーションの維持は難しい。

  東日本大震災から4年が経ってしまった。住民の生活の復興は進まず、福島第一原発の処理も進まない。そして、私には住民も原発の人もモチベーションが低下してきている様に見える。
 
  住民のモチベーションの低下は復興に時間がかかり過ぎるという時間要因が原因だと考えられる。
  自分にひきかえて考えると、自動車を手放した時には『その気になればすぐまた買うさ』と思っていたが、これから何年運転できるかも判らないのに少なくとも2百万円くらいのお金を出す意味があるかどうかという事に尽きる。
  被災地の平均年齢は高い。新しく家を建ててどれくらいその家に住むのかと考えてしまうだろう。人それぞれ違うだろうが、その人がある年齢になれば『もう一戸建てはいらないだろう。アパートでもいいか。』などと考えるだろう。
  すなわち、住民のモチベーションは時間の経過と共に低下するのである。
 
  福島第一原発のモチベーション低下は住民とは少し違う。事故の後始末は金を稼がずに浪費するばかりだと社内の厄介者扱いでもされたらやる気を無くしてしまう。
  廃炉部門として組織を整備し、技術者の将来を約束しない限り福島第一原発の後始末部門のモチベーションはいずれ保てなくなる。とにかく廃炉は社内での技術者寿命よりも長くかかるのだから、技術継承が大切だからモチベーションの低下は悲惨な結果を招く事になる。
 
  日本の原子炉台数は解体待ちも含めれば50を超える。事故であろうが無かろうが核物質を長年入れていた容器であるだけに、組織の中に解体部門をきちんと作り技術者の将来保障をしてやらなければならない。
  それをしないと10年後20年後には末端の下請け業者まで金で動くだけの恥もスキルも無い烏合の衆になってしまう。廃炉作業は派遣社員を寄せ集めればよいという様なものではない。しかも、作業者は被爆のために中央の技術者よりも早いサイクルで交代しなければならないものなのだ。
 
  どんなに優れた技術者がいても、優れたスキルの現場作業員がいなければ廃炉作業など上手く出来るものではない。まして外国人労働力で間に合う様なものでもない。安倍首相などその辺を判っているのだろうか。(判ってね~から企業寄りの政策ばかり立てるんだな~!!)