肉も高分子なら、プラスチックも高分子。

  人間の体はタンパク質が主体の高分子からできている。肉体が柔らかさを保っているのは水分の働きによる。だが、死んで体から水分が抜けると肉は弾力性を失う。
  プラスチックは石油系から作った高分子であり、柔らかさを保つために油系の可塑剤が配合されている。だから、経年変化により可塑剤が減少すればプラスチックも柔軟性が低下する。
 
  無線屋という電気関係の仕事をしていた私にとって、絶縁体の劣化は看過できぬ由々しき問題である。
  たしか、アポロの時は宇宙船内の気圧は地上の1/3で、純粋酸素で満たされていたとはずである。太陽系を出て行くロケットが、もしそうした環境だとすると、低気圧下ではより可塑剤の放出が進み、絶縁体がボロボロになる可能性がある。
  そしてもう一つの心配は半田付けである。半田付けは永久性がある様に見えるが、20~30年と経過した半田付けは半田の根元でポキリと折れる。私は半田に柔軟性が無いために、微振動が半田付けされた銅線の根元に繰り返し応力として集中し、折れやすくなるのだと思っている。
 
  光速の1/3で飛ぶロケットだとしても直近の恒星に行くまでに60年くらいはかかる。私にはプラスチック系の絶縁体にしても、半田付けにしてもその年月に対して耐久性を保障できるのかどうか心配である。