人間はどこまで猿か。(その2)

 私が少年だったころ、科学朝日にどこかの大学が猿の公平性を実験した記事があった。
 猿は上下関係が厳しく、上位の猿の許可がない限り食べ物の拾い食いもできないはずなのだが、食料が少なければ上位の猿が目こぼしして見ぬふりをする。
 ならば、食料が多ければ公平に分けるのではないかと大量の餌を与える実験をしたら、予想とは反対に、上位の猿が独り占めをし、下位の猿への威嚇や攻撃が激しくなったという。
 
 これは現代の人間社会に似ている。豊かな社会なのに貧富の格差が広がる現代。我々は本当に猿より進化したのだろうか。
 それだけではない。猿は共食いしないのに、我々は共食いにも等しい戦争をやめる事が出来ない。そして、戦争が富の収奪である事は否定できない。なおかつ、豊かな者よりも貧しい者の方が多く死ぬのだ。
 
 猿より進化したはずの我々は、本当に猿より良くなったのだろうか。今の人間の薄っぺらな理性では、猿よりも悪を巧妙に行っているに過ぎない気がするのは私だけだろうか。