正月〆(シメ)の酒。

 今年の正月はずいぶんと酒をおごった。暮れにはワイルドターキーとサントリーのVSOPとマイヤーズのラムとエビスのビールを買い、とにかく飲んだし、一部はまだ残っている。
 
 そして、新年の〆の酒。大利根酒造の季節限定『諸白白貴』を13日に注文した。この酒は大体12月1日に売り出す季節限定の酒であり、俗にいう濁り酒である。
 ところが、この酒は熱処理で発酵を止めていない。だから、酒を受け取った後も発酵を続けている変わった酒である。
 
 だから、この酒は発酵に伴う炭酸ガスを酒が内包している。以前、知人にそれを注意して渡したのだが、知人は車の助手席に一升瓶を気軽に置いた。そして、ブレーキを掛けたら一升瓶が倒れ、酒の内包していた炭酸ガスが気化してガス抜きの王冠から濁り酒が噴出した。(あれほど注意したのに!!)
 
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 だから、この濁り酒を口に含むとシャンパンの様な炭酸ガスの刺激が舌につたわるし、台所に置いておくと発酵のふくいく(馥郁・こんな字書けないよ~)たる香りが漂う。
 とにかく面白い酒であり、群馬に住んだ時は毎年前橋から沼田まで買いに行った。東京に来てからも、冬場に草津温泉に行くと帰り道は遠回りして沼田に寄り『諸白白貴』を数本買うのが習慣となった。
 今年は廃車したので初めて13日にお取り寄せをして、15日に届いた。そして、今年もあの懐かしい酒を味わっている。
 
 『諸白白貴』は特殊な酒である。私の母が食道癌になり食べ物が呑み込めなくなった時、母はこの酒を美味しく飲んだ。そして手術をしたが、癌が肝臓に転移していて手術から1年くらいして逝って
しまった。(再手術の体力は無かった)
 母の人生の最後にまともに喉を通ったのは『諸白白貴』だった。その昔、母が若かった頃に、田舎で甘酒と偽って作っていた密造酒に味が似ていたのが『諸白白貴』だったのだろう。それが母のソウルスピリットだったと私は思っている。