老人は習慣を変えられない。

 女房の友人の実の母親の事だが、長男と同居しているのに毎日の様に愚痴の電話をかけてくるので、可愛そうだと心配するご婦人がいる。
 愚痴ばかり言うので自分の家に引き取ろうとして、何回も母親を東京に連れてきてはみたのだが、直ぐに帰りたいと言い出すので困ってしまうらしい。
 
 お母さんの帰りたがる理由は簡単な事で、家が変わるからトイレを探したり、洗面所も風呂場も違うから戸惑ってしまうらしい。また、玄関を出てみても知り合いもいないからつまらない。
 日常生活のすべてに慣れていないし、慣れる事も出来ないので直ぐに帰りたがってしまうのだ。
 
 年寄りは習慣が固定化して直せない事がある。習慣も学習で体得したものだから、頭が柔らかければ再学習できるはずなのだ。ただ、歳をとると学習能力が衰えたり、学習体力が衰えてしまうのだと思う。
 すなわち、生活習慣の変更ができないのは新しい事を覚えられないという事であり、ボケの始まりなのだと私は考える。