悪妻とは。

 歴史上の悪妻は哲学者ソクラテスの妻クサンティッペ(私はクサンシッペと記憶していた)とされている。
 
 私も20代前半には、結婚するなら美人がいいとか、ブスは嫌だとか、気立てのいい娘がいいとか、悪妻は嫌だとか、同年代が集まると話し合っていた。
 いつもならそんな話は休憩室でやるのだが、休み時間が終わって事務室でもその続きをしていたら、それを聞いた既婚者の先輩が『悪妻はいい妻だよ。病妻が一番つらい』とつぶやいた。
 その人の奥さんは皆がうらやむ様な美人だが、体が弱くてよく入院していた。生活費と入院費用は大変な負担になっていたと思う。
 
 そして現代。クサンティッペは本当に悪妻だろうか。これを書く前にネットでクサンシッペを検索してみたら、ウィキペディアクサンティッペの悪妻ぶりなどとるに足らないものであった。
 そして、現代の悪妻を考えてみた。買い物依存の妻、パチンコ中毒の妻、ブランド志向の妻、芸能人追っかけの妻。等々、何かに夢中になりすぎて稼ぐ以上に浪費する妻の方が、クサンティッペを数倍も上回る悪妻ではないかと思えてきた。
 
 私の結婚生活は40年を超したが、悪妻なのか良妻なのかよく判らない。だが、夫婦喧嘩の原因の90%は子育てが原因で、夫婦の事で喧嘩した記憶はない。
 昔から『ひとり口は食えなくとも、ふたり口なら食える』と言う。結婚する前には私の収入で食っていけるかどうか心配だったが、結婚したら無駄が減って食って行けたので安心した。
 まあ、いろいろ考えても悪妻と言うほどに悪い所はない気がするが、良妻と言い切るだけの自信もないから普通の女房なのだろう。