女房の痴呆サインに気を配る。

 最近、女房が怒りやすくなった気がするので、ヒョットして痴呆の初期症状ではないかと気を配っている。
 女房は記憶が良くて、忘れっぽい私の連れ合いとしては最高であったが、その一方で記憶の良さから考え方は常識的だった。だから、女房がボケ始めたらかなり悪くなるまで気付かない恐れがあると私は思った。
 ズ~ッと昔だが、大学教授がボケても講義をもち、大学側もそのボケに気づかず、生徒の質問に答えられぬ様になって痴呆症である事が発見された。行動が習慣的である場合、周囲の者も痴呆の発症に気づくのが遅くなる事がある。
 
 本気で女房のボケを疑ったのはトイレの換気扇のタイマーが頻繁に連続運転になった時である。
 以前のタイマーは機械式のダイヤルタイマーだった。トイレに入る時にダイヤルを回せばその時間で切れるのだが、ある時から連続位置になっている事が多くなった。
 私は女房の痴呆を疑った。女房も私の痴呆を疑っていた様だが、結果的には松下電器製のタイマ故障であった。原因はタイマーのプラスチック製ギアの摩耗だった。
 
 タイマー騒動から数年たった今は、トイレの電気の消し忘れが多くなってきた。これは私も女房もほぼ同率で犯している。ボケの始まりかもしれないが、私的には松下電器製のスイッチに原因があると考えている。
 使用しているスイッチは押すたびにON・OFFの切り替わるタイプで、通電表示のパイロットランプもあるが、歳をとって目が悪くなると周囲が明るい時には、このON・OFFの発光表示が見づらいのである。
 機能的にもデザイン的にも良いスイッチなのだが、年寄りには昔のトグルスイッチの様にツマミの位置でON・OFFが判る方が使いやすいスイッチだと思う。
 
 そういえば、私は今年の3月31日に三越本店一階のトイレ表示が見ずらいという実例に遭遇した。
 私がトイレに入ろうとしたら、私より高齢の2人連れのご婦人が『どちらが女用だか判らない』と戸惑っていた。私が女性用の方をお教えしたが、男女のマークが化粧品売り場にふさわしいシックな色合いで、目が不自由になった高齢者には判別しづらかった。
 そして先日。三越本店にお中元の下見に行った時、また一階のトイレに入ってみたら表示はカラフルな判りやすい物に変わっていた。
 私の母もそうであったが、老女は小用の我慢が男性よりしづらく、時々漏らしていた。だから、一階の化粧品売り場をよく利用する豊かなご婦人が、トイレの表示が判らなくて失禁してしまったら、2度と三越には来なくなるだろう。(さすが三越・良い対応だ)