風が吹けば桶屋が儲かる。

 ある出来事が一見関係なさそうなものに影響を及ぼすという『こじつけ』ではあるが、これを考えた奴の想像力に私は感心する。
 風と桶屋には負けるが、建設労働力として東南アジアの労働力を期待する事には、ヒョットすると『差別主義』を誘発するかもしれないという危惧を感じる。
 
 現在の若年層の労働事情は悪く『ワーキングプア』という言葉もできてしまった。啄木ならずとも、多くの労働者がじっと手を見る状況である。
 また、第一次ベビーブーマーの子供達が社会に出るのと高度成長の時期が重なり、日本から3K(キツイ・キタナイ・キケン)労働が敬遠される様になった。
 現在の建設労働力不足もその延長線上にあると思う。
 
 そして、自民党政府は東南アジアの労働力に目を向けた。どの様な特例で外国人労働者を受け入れるか判らないが、その力を必要とするのは、今から2020年までの短期でしかない。
 とはいえ、5年余りの時間は恋をし結婚し子供を産むのには充分な時間である。オリンピック後にどうやって外国人労働力に出ていってもらうかの方策はあるのだろうか。
 
 特に国民を血統主義で決める日本は移民に厳しい国である。外国人女性が日本人男性と結婚すれば日本国籍を貰えるが、外国人男性が日本人女性と結婚しても日本国籍を手にするのは難しい。
 また、外国人男性が労働力として日本に来れば、その稼いだ金をいただこうと外国人女性もやってくる。
 それらを平和的に国外退去願う方法はあるのだろうか。多分、無いだろう。そんな事で日本の血統主義(純潔主義)は崩れていく。そうなると、日本も多民族国家の苦悩を背負い込む事になる。
 
 そして、オリンピックは何も生み出さないから、オリンピック後には不景気がおとずれる。
 その様な世相からは『外国人が我々の仕事を奪った』と差別主義の生まれる可能性が高くなる。ナチスドイツがユダヤ人を差別して国粋主義に走った歴史を忘れてはならない。
 また、差別主義は自国民すら『非国民』とののしって差別する様になるのである。実は、これが一番恐ろしいのだ。