娘への愛より、作為を感じる嫁の実家。

 『消費税が5%から8%に上がったところでさしたる支障は無い』と言えるのは、所詮は食料品などしか買わない貧乏人の強がりである。だが、高額商品を買う金持ちにとっては由々しき問題となる。
 特に、高額である住宅などは消費税の差で数百万円もの違いがでてしまう。そんな観点からなのだろうが、嫁の実家が突然マンションを買う事になった。そして、息子は何も知らされずにモデルルームに連れていかれ、約3千万円の借金を背負う事となった。
 
 要約すれば、嫁の実家はマンションの半額を現金で買い、半分を私の息子に借金で買わせたのだ。
 しかも『登記は現金で支払う娘名義にしたい』と業者に注文した。ところが、業者は「そうなると、お婿さんからお嬢様への贈与になりますので贈与税が発生します」と言った。
 そして、マンションは嫁側の実家が相続の特例を利用して現金払いで50%を娘名義として購入し、息子は残りの半額を借金で購入して50%の名義となった。
 
 マンション購入は息子にも相談無しに行われたぐらいだから、私達への相談は皆無であり、知ったのは息子が借金を背負ったと言いにきた時だった。息子とすればいくらかでも私達に負担してもらいたかったのだろう。
 だがしかし、私は一文の負担もしないと心に決め、とりあえずは『サラリ-マンにとってそれは大変だな』とだけ答えた。私は嫁側のやり方に胡散臭さを感じたのだ。
 そして、すべての顛末を聞き出した。それは更に嫁側の不信感を増大させる事になる内容だった。
 
 息子の『マンションを買う事になった』の言葉で、私は登記が誰名義でなされるのか気になった。そして、息子が約3千万円の借金を背負ったと聞いた時には、思わず「登記は共同名義になるのか」と聞き、最初は嫁名義で登記と言ったが、それでは贈与税がかかるから出資比率で半々の共同名義になると聞き安堵した。
 そして、これは非常に危険な賭けになると思った。もし、離婚などになれば、慰謝料としてマンションを嫁側が要求してくるかもしれない。そうなると、息子は借金を背負わされたまま放り出される事になる。
 
 いま住んでいる家を抵当に金を借りて息子の借金をチャラにしても、離婚されたら嫁にマンションを買ってやったのと同じだ。そんな危険な賭けに金を出して息子を助ける事はできない。借金は息子に背負わせ、私達が死んでから相続を開始するのが安全だと、私はふんだ。
 息子には以前から「浮気はするなよ。離婚になるぞ」と言っていたが、息子は『そんな事するわけないだろう。子供だっているんだから』と答えていた。しかし、今度は掛け金の上がった賭けになる。しかも、嫁側は親子の足並みがそろい、私達に相談しない息子は徒手空拳で戦う様なものなのだ。
(愚かな息子は親に相談もしないから愚かなる独断を下す)