面白い車を見た。

 先日、狭山市内をSM-X(愛称:ロシナンテ)で走っていたら信号待ちで写真の様な3輪車の後ろについた。一見、4輪車の様に見えるデザインだが、後輪は1輪だった。言ってみれば、3輪車の名作『メッサーシュミット』のアイディアをいただいた車であった。
 前2輪・後1輪の利点は高価で重量物のデフギアが不要な点である。また、2輪車はブレーキング時に前輪加重が増加して後輪のブレーキの効きが悪くなる。さらに前輪が滑ると転倒必至となる。それが前2輪になるとブレーキング時の加重が分散されて前輪スリップのリスクは減少するのだが、バンクの醍醐味は無くなる。
(前2輪でバンクできるのはピアジオMP3くらいだろうか)
 
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 ところが、前の車は3輪車なのに4輪車風にデザインされたボディーになっている。メサーシュミット好きの私にはチョット残念である。また、排気音と加速から50ccでない事は判ったが、乗車定員がタンデム2名でなく単座なのも残念であった。実は、私はメッサーシュミット好きである。
 
 戦後の大衆モーターリゼーションは自転車に小排気量エンジンを付けたものから始まった。
 そんな自転車に、商店では積載量を増やすためにリアカーを引かせたり、大工などはリアカーには載せられない長尺の材木を積むためにサイドカーを取り付けていた。
 
 朝鮮特需で少し経済が回復すると、タイヤが1本少なくてすむ前1輪・後2輪の3輪車が発売されたのだが、カーブで転倒するという欠点があった。また、原則的には1人乗りで、運転席の左側に簡易な椅子を取り付け2人乗りにしたものもあった。
 しかし、助手席の前にはボディーが無かったので、私より1~2歳年下の八百屋の子供は親の運転する3輪車で電信柱にぶつかって死んでしまった。
 
 そんな時代に見たメッサーシュミットは、日本と同じ敗戦国であるドイツ製の車なのに、MPの乗る無骨なジープとは一線を画していた。風防の付いたタンデム2座席のメッサーシュミットは、まさに戦闘機の雰囲気だった。
 もし、現在開発中のシティーコミューターにメッサーシュミットが発売されたとしたら、私はためらわずに購入するだろう。
 なぜならば、私は時代に乗り遅れた飛行気乗り志望で、もう少し早く生まれていたならば、死ぬと判っていた特攻隊員でも空を飛ぶために志願していたと思うからだ。
(でも頭が悪いから予科練には入れなかっただろう)