動物は何に幸せを感じるか。

 『人はパンのみにて生くるにあらず』という言葉がある。まあ、言葉の意味の解釈はともかくとして、よほど飢えている時代でないかぎり、人間は満腹のみで幸せになれるわけではない。人間は腹だけでなく、心の満足も得られなければ幸せを感じられないのだ。
 
 それでは心の満足とは何なのだろう。腹が食料で満たされる様に、心を満たしてくれる物は何なのだろう。それは恋愛でもよいし、趣味でもよいし、スポーツでもよいし、遊びでもよい。とにかく、それをやる事により心を遊ばせ、喜びに満たされる事だと思う。
 しかし、恋愛には恋人との心のすれ違いの起こる事があり、趣味やスポーツには上りつめる事のできない壁が立ちはだかる。遊びとなると、経済損失などで更にフラストレーションを抱えてしまう事もある。
 心を満足させるという事は、胃袋を満足させるより難しいものだと思う。
 
 それでは、人間以外の動物ならば満腹だけで満足するのだろうか。私は動物も満腹だけでは満足しないと感じる。動物には福音がないから、ほとんどの場合それは遊びで満たされるのだと思える。
 ハムスターが一生懸命走ったり、カラスが小枝を折る威嚇行動と同じ事を威嚇する相手も居ないのにやってみたり、猫が食べもしない甲虫や蛙にチョッカイをだしたり。たぶん、これらは胃袋を満たした後の心を満たす行為だと考えられる。
 いわば、食料と遊びは肉体と心に必要なものなのだ。
 また、群れて進化してきた人間にとっては、時に群れるという事が心を満たしてくれる。なおかつ雑踏の様な群れ方ではなく、同好の士が集まれば心はより満たされる。宗教などがそのよい例だろう。