欲望のパターン。(本能系)

 人間は欲望の塊であり、欲望には際限が無い様にみえる。確かにそうなのかもしれない。しかし、何らかの共通点は無いのだろうか。欲望にも普遍性はあるはずだ。私は本能を源とする欲望は以下のパターに合致すると考えている。
 
 昔、3大欲望というものを聞いた。欲望の強い順に並べると『睡眠欲・食欲・性欲』だった。また、上位の欲望が満たされないと下位の欲望は生じないとも聞いた。
 確かに、子供は物を食べながら眠ってしまう。睡眠欲は食欲よりも上位である証拠である。性欲は大人になってから芽生えるので判断は難しいが、死ぬほどの空腹は性欲をしのぐし、むかし聞いたシベリアからの復員兵は女体を想像しても勃起しなかったが、握り寿司を想像したら勃起したと聞いた事がある。
 だが、サカリの時期のある動物は飲まず食わずで繁殖にはげむ。ところが、いつも繁殖期にある人間は、やはり食欲は性欲より上位の欲望なのだと思う。
 
 実は、私はこの3大欲望に疑問を持っていた。そしてある時、3つの欲望より強い欲望は『生存欲』だと気づいた。睡眠欲と食欲は個体の生命維持に必要な欲望であり、性欲は種の生命の維持に必要なのだ。
 そして、欲望のパターンにも気づいた。欲望は満たされぬうちは渇望するが、満たされると見向きもしなくなる。睡眠欲は行軍の最中に一瞬意識が飛んで脳だけが寝る事があると聞いたが、充分に寝ると寝ている事が苦痛になる。食欲もフードファイトに見られる様に、最後に体は泣いて食う事を拒否する。
 ただ、性欲は少々傾向が違う気がする。本能ではあるかもしれないが、男の場合は遊びの要素がかなり入ってしまう。中年以降の男性のセリフ『相手が替われば役に立つ』は遊びの要素の表れだが、惚れて口説いて妻にして、そして興味が冷めてしまう。まあ、これは満たされた事により見向きしなくなるパターンと合致する。
 
 それに比べると『生存欲』にはそのパターンが当てはまらない。ゆえに、私は『生存欲』が最上位の欲望だと信じている。