新聞紙のショックアブソーバー。

 最近、ヤフオクで何かを買うと小奇麗な紙と、プチプチに包まれて送られてくる様になった。以前だったらショックアブソーバーは新聞紙をグシャグシャと丸めた、俗に『バクダン』という新聞紙球が沢山出てきたものだった。
 でも、あれは意外と楽しかった。全国紙でも地方色の出た記事があったり、地方紙であればシワを伸ばして読みふけった事もある。それが数年前から小奇麗だが強度の低い更紙になったのは、まさか紙ベースの新聞が減ったからではないだろう。多分、作業性の問題で新聞紙のバクダンが減ったのだと思う。
 
 それと、ビニール製のあのプチプチの処理は意外と厄介である。資源ゴミにするためには粘着テープを外さなければならない。布製のガムテープなら老眼でも見やすいが、薄手のビニール製の粘着テープだと見えにくいし、テープの厚さも薄いのでピッタリと張り付いていて剥がしにくい。また、巻物の様に巻くとかなりの太さになってしまう。
 とはいえ、大き目なプチプチは鉢植えの冬越しのために鉢に巻きつけたり、上から被せたりして夜の冷気を遮断するために便利に使っている。ただ、これも長時間にわたり日光を浴びるとプチプチは粉の様に砕け散る弱さを持っている。
 
 それから隔世の感のあるのは個人物流である。昔の荷物運搬は国鉄による鉄道便が主流で、実質的窓口は駅前にあった日通に頼んでいた。しかも、日通には自分で持ち込まなければならなかったし、窓口に持って行っても荷作りが悪ければ『ア~しろ』だの『コ~しろ』だのと言われて受付けてもらえない事もあった。
 それは荷物の運搬作業に問題があったからで、国鉄は荷物を積み降ろすのに手鉤を使ったから、荷物には荒縄をかけて手鉤を引っ掛けやすい形状にしなければならなかったのだ。
郵便小包もあったが重さ形状に制約が多かった・なおかつ運搬は国鉄に託していた)
 
 まあ、今の宅配便からみれば積み降ろしは荒っぽかった。荷作りの荒縄に手鉤を引っ掛けて引っ張り、貨物専用車から駅に落としたり、貨物専用車の床に引きずって持ち上げる。まあ、簡単に言えば、荷物を放り投げるようにして積み降ろししていた。
 箱もダンボール製ではなく、木箱だった。木箱は放り投げられると徐々に釘がゆるんでくる。そうこうするうちに釘が抜け、板がゆるめば中身がこぼれてしまう。勿論、国鉄ではこぼれた中身を戻す事もなく荷物は送られていく。時には中身のリンゴやミカンが半分くらいに減ってしまう事もあった。そして、荷作りの形状が悪くてそうなったのだから文句を言う事もできなかった。
 一般人が大切な物を送る場合は手回り小荷物として国鉄に別料金を払い、自分で持って行くのが一番安全で確実だった。
 
 宅配便の発展と取り扱いの良さは『お取り寄せ』などという現代の物流革命になり、私は思わずバンザイを叫んでしまいそうになる。そうだな~、もう少し寒くなったら、私好みの古見屋の田舎羊羹でもお取り寄せしようかな。
 冬は炬燵蜜柑とか炬燵羊羹とか炬燵麦酒が好きな内蔵助です。(コタツもミカンもヨウカンもビールも漢字で書くと冬っぽい雰囲気になるな~)