猫もフラストレーションが溜まると。

 この1週間くらいのうちだったと思うのだが、NHKの動画番組で猫が噴出する湯気に手を出す動画を見た。
 
 炊飯器?から噴出する湯気を1匹の猫が見て湯気に手を出してしまう。熱さに閉口するのだが、それだけでは気がすまない。そこへ、もう1匹が来て湯気を見ていると、最初の猫が後から来た猫にネコパンチをくらわす。
 猫も自分の失敗のフラストレーションを、他者への暴力という形で解消するのだと感じた動画だった。
 
 前々から、サル山の猿は上位の猿に威嚇されると下位の猿に噛み付いたりしてフラストレーションを発散させると書いてきたが、猫も同じ事をするのだと思った。
 私は、猿は脳が発達しているから人間と同じ様な行為をするのだと思っていたが、猫でも同様な行動をするとなると、もっと下等な生物にも自分の鬱憤晴らしのために不意打ち的な攻撃行動があるのだと考えた。
 なぜ同属に対する理由なき攻撃に目をとめたかというと、他種への攻撃行動では捕食のためなのか、遊びなのか判らないからである。
 
 捕食行動と違う他種への攻撃は猫などにも見られる。食べるためではないのに蛙にチョッカイを出してみたり、昆虫がヘロヘロになるまでネコパンチを浴びせたりするのを見かけた事がある。また、その行動のキッカケが上位猫からの攻撃によるフラストレーションでないのに行われたので、それらの行動の多くは遊びだと考えている。
 まあ、遊びも何らかの心的ストレスの発散行動とも言えるので、フラストレーションによる攻撃行動に似ていなくもない。暇つぶしの遊びも一種の心のガス抜きなのだろう。
 
 ただ、これらを突き詰めていくと、生物には自己の快楽とまでは言わないまでも、フラストレーションやストレスによる心の重荷を軽くするために、他者を攻撃するという行動様式が生来的にはめ込まれている気がする。
 人間以外の動物の同属同士の争いは道具も使わないし、群れても戦わない。人間以外の生物がその行動様式に従ううちは、それは単なる小競り合いで済むだろう。だが、大量殺戮が可能な道具を使い、群れで連携して戦う人間同士の争いは悲惨なものとなる。
 第一、人間が心の重荷を軽くするために同属同士で戦うと、人間はその戦いにより更に大きなストレスを抱え込んでしまう。すると、仲間内なのにストレスやフラストレーション発散ののために、上位の人間が次々と自分より下位の人間を攻撃するという『イタチごっこ』に陥る哀しい現実がある。
 
 フラストレーションやストレスを同属への攻撃行動で解消していては、この地球上から悲劇をなくす事はできない。同属への攻撃行動でフラストレーションやストレスを発散するのではなく、人間はほかの方法を探す時期に来ているのだと私は考える。